10月28日、厳戒態勢の中で行われた安倍元首相銃撃事件の初公判。

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山上徹也被告(45)は何を思い何を語るのか?大きな注目が集まりました。

開廷約6時間前には、わずか32席の一般傍聴席を求めて727人が列を作りました。

山上被告「すべて事実です」

事件発生から3年あまりの時を経て、28日、初公判に臨んだ山上徹也被告。
白髪混じりの伸びた髪を後ろで束ね、事件当時よりふっくらした印象だったといいます。

冒頭、裁判長の質問に、小さな声で淡々と答えた山上被告。裁判長から起訴状の内容について問われると…。

山上徹也被告「すべて事実です。私がしたことに間違いありません。法律上どうなるかは弁護人に任せる」

裁判では、旧統一教会による宗教被害などの境遇が、刑の重さに影響するかどうかが争点となっています。

裁判を実際に傍聴した人たちが感じた山上被告の印象は…。

傍聴人:
彼の生い立ち。心から笑ったことがないんじゃないだろうかと思った。だからこんな年やけど思わず、息子みたいな年やからちょっとね…泣けた。

「変わらず淡々とした様子」

さらに「サン!シャイン」は弁護団を取材。事件から3年間の山上被告の心境に迫りました。

松本恒平弁護士:
事件直後はそりゃもうものすごい憔悴しきった感じでもありましたし、全身からも緊張感が漂ってました。

事件後は憔悴していたという山上被告。自身の犯した罪については…。

藤本卓司弁護士:
ずっといつも彼は淡々としか答えてくれないので、もちろん自分のしたことの罪はわかってますし。

この3年間、変わらず淡々とした様子だという山上被告。

事件をきっかけに、旧統一教会への高額献金は国会でも問題になり、教団への解散命令請求が東京高裁で審理されていますが、こうした動きについては…。

松本恒平弁護士:
彼はそういうところに関して一喜一憂もしないし、楽観もしないので表に出さないですし、内心は動いてるのかもしれないですけど、なかなか表に出すってことはないですね。

藤本卓司弁護士:
それ(教団の解散など)を目的としたわけでもないし、ああいう世間の反応があるとも思ってなかったので、むしろ意外なんでしょうね。彼にとっては。

自らの心の内を表に出さないという山上被告…。

――被告から後悔や贖罪は出ている?
その点に関してはこの場ではお答えできないですけども、そういう内心内面に関わることとしては、この裁判で彼の口から直接話はしてもらおうとは思ってます

スマホ持ち込み禁止…厳戒態勢で行われた初公判

日本中に衝撃を与えた銃撃事件。今後の裁判の行方は?

2023年6月に行われる予定だった第1回公判前整理手続きが、奈良地裁に不審な箱が届き、急きょ中止になった経緯もあり、初公判では入り口を1カ所に限定し、複数の警察官を配置するなどの厳戒態勢のなか行われました。

傍聴した人によると、傍聴席と弁護・検察・被告側との間にアクリル板を設置。

さらに、通常持ち込み自体は許可されているスマートフォンや腕時計も持ち込み禁止。メモを取るための筆記具も裁判所が貸し出していたといいます。

フジテレビ 平松秀敏解説副委員長:
「警備法廷」って言うんですけれど、アクリル板とかがあるケースはあるんですよ。ただそれは、例えば暴力団の事件で、証人に傍聴席から危害を加える人物が現れるんじゃないか。そういう時のためにアクリル板をしたりとか厳重な警備を敷いたりするんですけれど、まさか今回のこの裁判がそこまで厳重な警備を敷いてるっていうのはちょっと想像できませんでした。
やはり宗教絡みの事件ですから。しかもテロまがいの犯行ではあるので、突発的な事案が起きたらこれはまずいというので、裁判所側もかなりピリピリして警備体制を敷いているんじゃないかなという気がしますね。

双方の主張、量刑は

検察側の主張
▼戦後史上例をみない極めて重大な事件
▼計画性・危険性の高さは目を見張るものがある
▼生い立ち自体は量刑を軽くするものではない

弁護側の主張
▼殺人罪については認める
▼発射罪は成立せず刑は軽くなる
▼母親が旧統一教会に多額の献金、不遇な生い立ちが影響

――被害者は安倍元首相だということは量刑に影響を与えますか?
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士:

非常に重要なポイントになっていまして、つまり過去に首相として日本の政治をリードしてきて、かつ当時においても政治に対する影響力があった。ですから、殺人としては最上級の類型として検察は捉えて。日本内外に与えた影響を考えると非常に重いという捉え方をすると思います。

今後の公判は全19回予定(予備日含む)。
11月には山上被告の母親の証人尋問が行われ、判決は2026年1月21日の予定となっています。

――判決はどうなると思いますか?
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士:

裁判員裁判ですから、宗教被害虐待という問題をそれなりに共感を得させるように弁護側は活動していくと思いますから。それを裁判員の方がどう評価するか、どういう心証がくるかというところがポイントだと思います。
(「サン!シャイン」10月29日放送より)