「水俣病の教訓」を世界に発信します。11月3日からスイスで開かれる『水銀に関する水俣条約』の締約国会議『COP6』に参加する写真家のアイリーン・美緒子・スミスさんと県立水俣高校の生徒らがそれぞれ会見を開き、意気込みを語りました。
水銀による環境汚染や健康被害の防止などを目指す『水俣条約』は2013年に熊本で開かれた外交会議で採択され、2017年に発効しました。
現在、日本を含む153の国と地域が批准していて、第6回の締約国会議『COP6』が11月3日から7日の日程でスイスのジュネーブで開かれます。
今回、この会場のエントランスで9人の写真家でつくる『水俣・写真家の眼』プロジェクトが写真展などを企画。メンバーの一人、アイリーン・美緒子・スミスさんが会見で思いを語りました。
【『水俣・写真家の眼』アイリーン・美緒子・スミスさん】
「9人の写真家は撮り方も違うし(撮影した)時代も違うが一つのメッセージとなるように(写真展を)構成した」
アイリーンさんは、当時結婚していたアメリカ人の写真家ユージン・スミスさんとともに1971年から3年間、水俣に滞在し、患者の生活の様子などをカメラに収め写真集『MINAMATA』を出版。現在も胎児性患者らと親交が深く、「水俣病に苦しむ人たちの思いを代弁したい」と話します。
【『水俣・写真家の眼』アイリーン・美緒子・スミスさん】
「教訓は『warning・警告』にもなるし、『empowerment・勇気づけられる』ものにもなる。水俣で何が起こったのかということと写真を通して水俣を知るということはまだまだ知られていないので、これが素晴らしいチャンスだと思っている」
アイリーンさんは『COP6』の全体会議に参加するほか、関連イベントに登壇し、講演するということです。
一方、27日は同じく『COP6』に環境省から派遣される県立水俣高校の生徒2人も会見で抱負を語りました。
2年生の岩阪 望央 さんは、水俣高校の生徒を対象に行った『水俣条約』の認知度調査について。1年生の本山 典美 さんは学校での水銀学習について、若い世代が集まる意見交換の場で英語で発表します。
【県立水俣高校2年 岩阪 望央 さん】
「世界各国の若者たちと意見交換ができるので、今まで持っていなかった新しい視点を得て、それを水俣高校に持って帰って共有したい」
【県立水俣高校1年 本山 典美 さん】
「世界中の若者や水銀に関する研究者に、私たちが学んでいる水銀に関する取り組みや学習を広めて水俣病の正しい知識を伝えたい」
水俣高校の生徒の参加は2017年の第1回会議以来2回目で、国連欧州本部なども視察する予定だということです。