全国的にクマによる人身被害が相次ぐ中、新潟県内では今年度の出没件数がすでに過去最多を上回り、2000件を超え、人身被害も12件に上っている。連日のように目撃情報が寄せられる中、自治体にはクマの捕獲などについて苦情や批判の問い合わせがあるという。
■新潟県は過去最多の出没件数に
全国的に相次いでいるクマによる被害。新潟県内の出没件数は今年度2055件となっていて、すでに統計開始以降過去最多となっている。(10月28日現在)
人身被害は12件に上っていて、10月27日にも上越市で測量作業のため歩いていた作業員2人がクマに襲われる被害にあった。
被害にあった男性は「気づいた瞬間にもう向かってきて、襲われた。こっちを見た途端、いきなり走って襲ってきたのでだいぶ恐ろしかった」とその時の恐怖について語った。
クマの出没が相次ぐ中、魚沼市では10月21日、クマ1頭が住宅地付近で目撃され、人の日常生活圏内であり、危険な状態であったことから、魚沼市は新潟県警と協力し、周辺の安全確保を行った後、午後1時12分に猟銃によりクマを駆除した。
県内で初となる緊急銃猟による駆除となった。
■緊急銃猟に批判や苦情の声も
しかし、この緊急銃猟について、「子グマだったのになんで殺すんだ」「麻酔銃で眠らせて山に帰せたのではないか」といった内容の問い合わせや批判の電話が魚沼市に寄せられているという。
県に対して緊急銃猟に関する批判や問い合わせはないものの、捕獲については今年度10件以上の問い合わせや批判があり、「クマを捕獲してかわいそう」「クマを殺すな」などの内容だったという。
クマの生息域が人里に近づく中、新潟県は下記の注意を呼び掛けている。
・入山時は、ラジオや鈴などの音の鳴るものを携行し、単独行動は避ける
・クマの活動が活発な早朝や夕方の入山は避ける
・クマの餌となる生ゴミや不要となった果実や農作物等は適切に処分する
・子グマを見かけても、決して近づかない。近くには母グマがいると考えられ、大変危険。
・集落周辺や河川敷などのクマが隠れそうな藪は刈り払う。
クマによる人身被害をこれ以上出さないためにも十分な注意が必要だ。
■新潟県内の人身被害(25年度・10月28日現在)
5月15日:南魚沼市で60代男性が負傷
5月29日:五泉市で40代男性がクマに遭遇して転倒し、負傷。連れていた犬が追い払う
6月4日:長岡市で山菜採り中の80代男性が負傷
7月13日:糸魚川市で山菜採り中の70代男性が負傷
8月15日:南魚沼市で60代男性が自宅付近で襲われて負傷
9月15日:長岡市の自宅前で40代男性がクマに遭遇して負傷
9月26日:妙高市で90代男性が自宅付近を散歩中にクマと遭遇して負傷
9月27日:南魚沼市で70代男性が藪から出てきたクマに襲われて負傷
9月30日:阿賀町で50代女性が買い物帰りに駐車場でクマと遭遇して負傷
10月4日:妙高市で30代男性がランニング中にクマに遭遇して負傷
10月11日:長岡市で70代男性が玄関脇の柿の木付近にいたクマに襲われて負傷
10月27日:上越市で測量作業中の男性2人がクマに襲われて負傷