寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすい秋、命にかかわるリスクもある不整脈。年齢や症状に関係なく誰にでも起こる可能性があり、中でも「心房細動」は無症状でも脳梗塞の引き金になるおそれもあり特に警戒が必要です。
心臓のリズムが乱れ、脈が極端に遅くなったり速くなったり不規則に打つようになったりする不整脈。命に関わるケースもあり、早期の気づきが大切です。
福井県済生会病院・循環器内科の丹羽智医師は「不規則、極端に速い、遅い、その全てが不整脈にあたる。50回から90回ぐらいが平均的な脈拍数」と説明します。
不整脈には種類があり、多くは軽症ですが注意すべきものもあります。
それが「心房細動」です。心臓の上の部屋「心房」が無秩序に震える状態で、血流がよどみ、血の塊「血栓」ができやすくなるのが特徴です。
その血栓が脳梗塞(心原性脳梗塞)の原因となることもあり、最悪の場合、ある日突然、命を脅かす重大な結果を招きます。
「高齢化社会の日本で年々増え続けている」という心房細動。丹羽医師は「異常な電気信号が原因で心房の興奮が無秩序に興奮しだす状況」だと説明。「動悸や胸の違和感を訴えて病院を受診する人が多いが、全く症状がなく健康診断や心電図の検査で病院に来る人も少なくない」といいます。
発見には心電図が確実ですが、日常的にできるセルフチェックもあります。
手首の親指側を反対の手で軽く押さえ、15秒間、脈を感じましょう。脈を打つ目安は約12回から25回。それよりも少なすぎたり多すぎたり、あるいはリズムに乱れがあれば要注意です。
「日常的に心電図をとるには、例えばアップルウォッチのようなものを使うこと。それをきっかけに病院を受診して心房細動が分かって、治療につながったケースも少なくない」(丹羽医師)
心房細動は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病とも関係があります。さらにアルコールやカフェインの過剰摂取、睡眠不足、ストレスなどが発症のきっかけになることも。日々の健康管理がカギとなります。
丹羽医師は「心房細動は珍しくない不整脈。季節の変わり目に気温の変化などで自律神経のバランスが崩れ、動悸や胸の違和感といった心臓の不調を訴える人が増える傾向がある」として、症状がある場合は病院を受診するよう勧めています。
めまい、息切れ、そして動悸。小さなサインが大きなリスクにつながることもあります。セルフチェックで脈を確認することから始めてみてください。