フジテレビが入手した“肉声”

フジテレビは教団関係者から、次男の肉声とされる音声ファイル計6本、約17分間分を入手。長期間にわたる裏付け取材の結果、捜査関係者や元教団関係者ら複数の人物が、次男の肉声だと認めた。 

また、フジテレビは14年にテレビで唯一、当時20歳だった次男に取材をしていた。その際の肉声と、今回の音声の照合のため、専門家に声紋鑑定を依頼した。 

2014年の取材時
2014年の取材時

2種類の鑑定手法で分析した結果、新旧二つの肉声が「同一人である可能性が高いと判断するのが妥当」との結論が得られた。 

音声が示す「指導的地位」 

ある教団関係者によると、次男は主にオンライン会議を通じて、信者らに指示をしているという。

音声は、そうした会議を録音したものとみられ、次男自らが、教団内で宗教的にも実務的にも指導的立場にあることがうかがえる複数の記録が残されていた。 

――しばらく沈黙の行に入りなさい。 

次男に修行を命じられた信者が、戸惑いながら、「すぐに……ということでしょうか?」と答える様子からは、次男を畏怖していることがうかがえた。 

また、次男が幹部信者に対し、公安調査庁への不報告を指示するやり取りも記録されていた。

次男は詰問するような口調でこう言い放った。 

――徹底抗戦か靴なめるか、どっちかしかないんだよ。相手の出方が読めないんであれば。 

教団の人事権も掌握か

さらに、次男が人事権を握っていることを示す音声も確認された。 

教団の対外的な代表にあたる「共同幹事」を決める際の会議では、こうした発言があった。 

――共同幹事も他の人のほうがいいと思うんだけども、だれかやりたいというような人いません? 

数分間にわたる沈黙のあと、男性信者が立候補すると、次男は拍手を送り、こう鷹揚に続けた。 

――そこで私やらせていただきますといえるのが、あなたの長所です。 

「私は2代目の教祖」

最も衝撃的なのは、次男が自らを松本元死刑囚の「後継者」と繰り返し称していたことだ。 

――わたくしは、2代目の教祖になるわけだよね。 

――グルの意思、というかまぁ私の意思は色々示されているわけだけどさ。 

イメージ
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そして、そのように名乗る根拠として、こう語った。 

――父が○○正大師に託したことがあった。次男を「宗教の王」と、長男を現世の王と。で、母を宗教の後見人とする、と。 

元信者「次男の独裁体制が進んでいる」 

次男が父に“託された”と主張する「宗教の王」の実態は、教団内で本当にあるのだろうか。 

フジテレビの取材に、ある元信者は次男が実質的に権力を握っている事を認め、こう証言した。

「公安調査庁への不報告も、被害者への賠償金の未払いも次男の指示。次男は気にくわない信者を次々と追放し、教団内で独裁体制を敷きつつある」 

また、元オウム幹部で現「ひかりの輪」代表の上祐史浩氏は、公安審査委員会が「次男が『転生祭』や『イニシエーション』といった儀式を行い、毛髪を信者に提供した」と認定したことについて、「松本元死刑囚と同じように振る舞うことで、『自らこそが2代目グルだ』と信者と元信者に印象づける行為といえる」と説明した。 

さらに、元信者らから聞いた証言だとして、次男の強硬な姿勢をこう指摘した。 

「不報告や未払いには教団内でも強い反対意見があったが、権力を握った次男が強行した。少しでも反対した信者はパージ(追放)され、教団に残るのはイエスマンのみになりつつある」