「松工セブン号」 松山工業高校自動車部15年目の愛車
「終わりのないロマンですね。完成というのはなくて、3年というスパンがあって、次の代に受け継がれていく」。
愛媛県・松山工業高校自動車部の山内寛太さんはそう語る。
彼らが手がける「松工セブン号」は現在、製作開始から15年目。
一般的なゼロハンカーが2〜3年で新調される中、彼らのマシンは歴代の部員たちの技術と愛情によって今も現役だ。

全国の舞台で表彰台を目指し、愛「車」精神あふれる高校生たちのロマン
手作りの自動車を整備し、操る松山工業高校自動車部。
全国の舞台で表彰台を目指し、愛「車」精神あふれる高校生たちのロマンだ。
学校のグラウンドをバギーが疾走!運転しているのは高校生だ。
1年生~3年生10人で活動していて、今年12月に開かれる「全日本高等学校ゼロハンカー大会」で、初の表彰台を目指し日々自動車と向き合っている。

排気量50cc未満のエンジンを搭載した軽量の手作り自動車
部員たちが整備している「ゼロハンカー」とは、排気量50cc未満のエンジンを搭載した軽量の手作り自動車、いわゆるバギーカーのこと。自分たちの手でマシンを整備し、グラウンドで走り回りながらスピードや耐久性を追求している。
松山工業・自動車部 山内寛太さん:
「仲間とコミュニケーションをして課題を発見する。そしてそれを解決していく。これが自動車部の醍醐味だと思います」
3年生の山内寛太さんは今年8月まで部長を務め、他の3年生が引退する中、車が好きだという一心で自動車部に残った。
山内寛太さん:
「幼いころからミニカーが好きで、おもちゃで遊んでいるうちにいつしか車を作れたら良いなと。松山工業高校でこういう取り組みをしているのを知って、自動車部に入って活動している。最高の日々です。とにかくオイルまみれで、他にはない青春を満喫しています」

MAC史上最高傑作、松工セブン号
そんな自動車部が誇る愛車が…
山内寛太さん:
「MAC史上最高傑作、松工セブン号です。松工セブンは松山工業自動車部が2009年から製作をしているマシンで、現在現役15年目になります」
(Q.“製作している”ということは現在も…?)
「現在もまだ(製作は)続いています」
一般的なゼロハンカ-は2~3年で新たなものに交換しますが、松工セブン号はシンプルな設計や加工技術の高さなどによって耐久性に優れ、15年目の今年も健在だ。
山内寛太さん:
「終わりのないロマンですね。これは永遠に繰り返されるようなものなんです。完成っていうのはなくて、それで3年っていうスパンがあって、次の代に受け継がれていく。そうやって長いスパンで代々受け継がれてマシンを究極系に近づけていく。そういう魅力があります」

松工セブン号で走行練習
この日は松工セブン号で走行練習。スタートからターンして帰ってくるまでの約100mを走る。
松野姫依さん:
「初めてなんですけど、とりあえず頑張ってみます!」
全日本大会の出場を目指す1人が、1年生の女子部員松野姫依さん。
松野姫依さん:
「元々私がドリフト競技をしていて、良い練習になるんじゃないかと思って、整備の面でも車を運転するという面でも、良い練習になると思って入りました」
中学1年から競技用自動車のドリフト競技をしているという松野さん、その実力は見事なハンドリング!また、自動車大好きの山内くんも…!経験値を活かした見事なハンドルさばき!
松野姫依さん:
「今後の目標は元部長(山内さん)を追い越すことです。速いです。速いし操作もかなり正確だと思います」

マシンが壊れたら直す。それが僕たちの活動
山内寛太さん:
「マシンが壊れたら直す。それが僕たちの活動です」
(Q.乗るのと整備するのどっちが好き?)
「どっちも好きなんです。乗ってみて初めて課題が見つかるので、乗って見つかった課題を、今度は作る側として改善していくというのもすごく好きですし、改善してまた走らせて『ああ、今度はここがダメだ』っていうのが絶対出てくるので、それを発見するという意味でも走るのもすごく好きです」
車に魅せられ、車と向き合う高校生たちにとって唯一無二の時間。
代々受け継がれる愛「車」精神を大事に、これからも青春を駆け抜けていく。

