相次ぐクマ被害…今年度全国で9人が死亡
全国各地で相次ぐクマの被害。
今月に入っても秋田県湯沢市で男性4人が立て続けにクマに襲われ、岩手県奥州市では事務所の車庫に侵入した子グマを捕獲されるなど、全国各地でクマが人の生活圏にまで現れ、住民が被害にあうケースが相次いでいます。
環境省によると、今年度のクマによる死者は10月22日時点ですでに9人。これは統計を取り始めて、過去最多です。
「気を付けて登るようにしてます」石鎚登山客もちょっと心配
愛媛県にある西日本最高峰の石鎚山です。
「全国各地のクマ被害」について登山客らに聞いてみると…
山口からの登山客:
「はっきり言って怖いですよね。もし本当にクマが出そうと思うんだったら、熊鈴は絶対つけます」
松山から登山客:
「ニュースがクマばっかりで多いなと思いますね。(人間との)すみ分けが難しいですね」
松山からツーリング:
「ちょっと気をつけて登るようにしてますけどね。ゴミはちゃんと持ち帰るということはこれはもう当然のマナーですので」
全国で出没が相次ぐクマですが、愛媛県自然保護課などによると、1972年を最後に愛媛県内でクマの生息が確認できる証拠はないといいます。
高知と徳島県境に26頭のクマの生息を確認
四国内のツキノワグマの態調査や保全活動を行っている、四国自然史科学研究センターの安藤さんに聞いてみると、
四国自然史科学研究センター 主任研究員・安藤喬平さん:
「愛媛県内については現在は生息が確認されていません。高知県と徳島県の境あたりに
26頭程度の個体が生息をしているという状況です」
博物館に残る剥製…愛媛で最後に捕獲されたクマ
現在、愛媛には生息が確認されていないクマ。しかし、過去に愛媛にいたことを証明するものが石鎚山のふもとに残されていました。
やってきたのは面河山岳博物館。
こちらでは今、絶滅危惧動物たちの特別展が開かれています。
小川日南アナウンサー:
「見てください。大きなクマの剥製があります。迫力がありますね。これは一体どういうものなんですか?」
面河山岳博物館学芸員:
「これはですね、愛媛県で最後に捕獲されたツキノワグマの剥製になります。」
53年前に愛媛県伊予市で捕獲されたツキノワグマ
テレビ愛媛には、このクマが捕獲された時のニュース映像が残っていました。
53年前の1972年、体長1.5メートルのオスのツキノワグマが小田深山から内子の集落を抜けて、現在の伊予市中山町のクリ園に現れ、捕獲されました。
この個体を最後に愛媛での生息は確認されていません。
なぜ愛媛からクマは姿を消したのか?
なぜクマは愛媛から姿を消したのでしょうか。
四国自然史科学研究センター 主任研究員・安藤喬平さん:
「江戸後期から森林利用が愛媛でもかなり強かったというのもありまして、森林が減っていった、奥に人が住んでいった、クマにとって野生動物にとって好適な生息環境がなくなっていったという背景が1つあります。」
「それに合わせて林業の害獣としてかなり捕獲が推奨されました。それが明治とか昭和初期に愛媛の方ではかなり捕獲されていって1972年が最後になるんですけれど、それを機に愛媛県側、四国の西部のほうでは途絶えたというのが現在至っている現状です。」
旅行でクマがいる地域に行く場合の注意
愛媛でクマに遭遇するリスクはほぼないものの、旅行や登山でクマがいる地域に行く場合、どんなことに気を付ければいいのか?
四国自然史科学研究センターの安藤さんは、「現地の情報をしっかりと確認することが大事」だといいます。
四国自然史科学研究センター 主任研究員・安藤喬平さん:
「知ることで対策ができたりとか恐れるべきこと注意するべきことが分かる。登山される方だったら、見通しが悪いところや出合いがしらの遭遇を避けるということが一番大事なこと。それをするためのクマ鈴の携行や音をあえて鳴らす、複数人で行動するということが大事」
