埼玉・さいたま市で栽培が広がる「青パパイア」は、猛暑や害虫に強く手間がかからないとして、高齢化する農家の間で注目を集めている。「医者いらずの野菜」とも呼ばれ、農地再生と健康志向を追い風に需要も拡大している。

人手不足の農地活用から誕生した青パパイア農園

イット!が訪れたのは、埼玉・さいたま市にある畑だ。そこには見慣れぬ光景が広がっていた。

取材班:
背丈ほどの木が生い茂っています。南国のような景色が広がっています。

木々にたくさん実っていたのはパパイアだが、青々としていて黄色やオレンジの見慣れたパパイアではない。

普通の甘いパパイア(左)と青パパイア(右)
普通の甘いパパイア(左)と青パパイア(右)
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取材班:
これは何ですか?

パパイア農家・今井稔通さん:
青パパイアですね。約160本植えられています。

聞き慣れない「青パパイア」の実だが、収穫量はどれくらいなのか。

パパイア農家・今井稔通さん:
(2024年の収穫量は)約7000個くらい。

その実には、貴重な栄養素が含まれているという。パパイアにハサミを入れると、滴り落ちてきたのは脂肪や糖分を分解する消化酵素のひとつ「パパイン酵素」だ。代謝が良くなり、冷え性などの改善が見込まれるという。

パパイア農家・今井稔通さん:
一年中食べてると「医者いらず」という野菜です。

酵素の王様とも呼ばれる南国の恵みが、なぜ埼玉県で生産されているのか。

パパイア農家・今井稔通さん:
手間がかからないんです。

出発点は農家の「人手不足」や「高齢化」により、活かせていなかった土地の有効活用だった。

青パパイアは猛暑に強い上に、虫を寄せ付けない性質のため農薬いらずで手間がかからない。加えて日本の気候では熟することがないため甘すぎず、野菜として料理に使用できるのも魅力だという。

東京・江東区「アグリの森直営所メトロ豊洲店」でも販売されており、様々な料理への活用法を伝える写真が添えられていた。

SNSではキーマカレーの具材や青パパイアとエビの生春巻き、青パパイアとひき肉のピリ辛ナンプラー炒め、牛肉とオイスターソース炒めなど、思い思いの「パパイア料理」に挑戦する人たちの投稿が見られた。

さらに、青パパイアの葉を使ったお茶や、小麦にパパイアの葉を練り込んだ麺も人気を博しているという。