10月2日で全線開通から40周年を迎えた『関越トンネル』。新潟県と関東を結ぶこのトンネルの裏側が報道陣に公開された。トンネルの安全を守る様々な仕組みについて潜入取材した。
普段は入ることのない“避難トンネル”に潜入!
新潟県と関東を結ぶ関越自動車道の関越トンネル。全長は約11kmで山岳道路トンネルとしては、日本一の長さを誇るトンネルだ。
その関越トンネルは、今から40年前の1985年10月2日に全線開通。
今回はその全線開通40年を記念して、報道陣を対象に関越トンネルの裏側を巡るツアーが企画された。
巡るのは関越トンネルの本線ではなく、上り線と下り線の間に位置する、普段は一般の人が入ることのない“避難トンネル”だ。
NEXCO東日本湯沢管理事務所の小澤善昭副所長は「先進導坑・パイロットトンネルと呼んでいたようだが、ここをまず掘ったうえで、色々調査しながら、やっぱり湧き水がすごかったみたいだ」と説明。
そして、ここに関越トンネルの安全を守るための最初の秘密があった。

関越トンネルの本線で車両火災などが発生した場合などに、避難トンネルに逃げるための連絡トンネルなどが横に50本も掘られている。
“湧き水”利用し貯水槽には1400tの水!
さらに、車両火災などへの対処に必要となるのが、“水”だという。
関越トンネル内には谷川山系に降った雪や雨が6年をかけ湧き出ていて、その量は毎分18tにも上り、谷川岳の名水としてパーキングエリアでも提供されている。
貯水槽には25mプール約4杯分にあたる1400tの水が貯められていて、仮に関越トンネルで3か所同時に火災が起きても対応が可能だという。
東京電力・東北電力 エリアまたぎ“電気”を供給
そして、外の光が届かないトンネルに欠かせないのが“電気”だ。ここに、新潟と群馬にまたがる関越トンネルならではの画期的な仕組みがあった。
小澤副所長は「ここだけが他のエリアまで入り込んで、お互いにつけている。東京電力がダメになっても『東北電力頑張れ』、東北電力ダメになった場合に『東京電力頑張れ』ということで、真っ暗にはならない仕組みだ」と話す。
全長11kmのトンネル内では、東京電力が走行車線の電気を東北電力が追い越し車線の電気を供給。エリアをまたいで互いに電気を送り合う珍しい仕組みとなっている。
直径3m!巨大排風機と送風機
そして、排気ガスを出しながら走る車が通るトンネルで重要となるのが換気。その役割を果たすのが、直径3mもある巨大な排風機と送風機だ。
羽が最大45度の角度になったときに、最大出力毎秒31mの風の強さでトンネルにきれいな風を送ることができるという。
高さ180mの“立坑” 610段の階段を上った先には絶景が!?
そして、トンネル内にきれいな空気を取り込み、汚れた空気を排出するためにつくられたのが立坑だ。今回はその立坑の空気の取り込み口などを外から見学することに。
立ちはだかるのが、高さ180m、610段にも及ぶ螺旋階段。
1段の高さは29cmとマンションなど普通の階段よりも10cmほど高いため、一段上るたびに足に大きな負荷がかかる。
人が1人通れるほどしかない幅の狭い階段を手すりも使いながら、一段一段上がっていく。
そして上り続けること約20分。階段を上り終え、見えた景色は…この日はあいにくの雨だったが、晴れれば谷川山系の絶景が広がる。
ドライバーの安全守る関越トンネル「これからも全力で管理」
立坑だけでなく、様々な仕組みでドライバーの安全を守っている関越トンネル。

NEXCO東日本湯沢管理事務所の荻野政行所長は「40年経っても、当然まだまだその当時の設備が残って現役で使えている。これからも皆様に安心・安全にお使いいただけるように全力でここを管理していきたい」と意気込む。
このトンネルインフラツアーは一般の人も参加可能。一度は新潟と関東を結ぶ大動脈の裏側をのぞいてみてはいかがだろうか。
