公共施設などに企業名やブランド名などの愛称を付けるネーミングライツ。

大型施設が有名ですが、大阪では意外な場所にも。

【記者リポート】「ここの歩道橋“きいろい足場屋さん”と大きな文字で書いてます。ここにもネーミングライツありますね」

増え続けている「ネーミングライツ」。国立競技場についた契約金額は、なんと100億円とも。

一方、初めて導入する自治体を取材すると…。

(Q.問い合わせは?)
【和歌山県担当者】「まだですね…それが…そろそろ来てほしいなと、若干焦りが…」

巨額マネーが動くネーミングライツって“オイシイ”ことあるの?徹底調査しました。

■契約金額100億円のネーミングライツ 国立競技場は「MUFGスタジアム」に

東京オリンピック・パラリンピックでメイン会場となった国立競技場。日本を代表する施設をめぐって先週、巨額マネーが!

【三菱UFJフィナンシャル・グループ 亀澤宏規社長】「新たな発信ができていくことは、我々の企業価値にも最終的にはつながるし、社会価値も上げていきたい」

国立競技場のネーミングライツを、三菱UFJフィナンシャルグループが取得し、新たな呼び名は「MUFGスタジアム」に。

契約期間は来年1月から5年間で、ネーミングライツの取得額としては、国内最大規模で「100億円」とみられます。

そもそもネーミングライツとは、公共施設などに企業名やブランド名などの愛称をつける権利のこと。

大阪では2006年、「大阪ドーム」が「京セラドーム」に!

「長居陸上競技場」は2014年から「ヤンマースタジアム長居」。

さらにプロ野球オリックスの準本拠地は、もともとの愛称が「グリーンスタジアム神戸」でしたが、そこから3度名前が変わり「ほっともっとフィールド神戸」となっています。

■企業側のメリットは?「広告・ブランディングが大きい」と担当者

巨額マネーを払ってでも取得するネーミングライツは、企業にどのようなメリットがあるのか。

取材班が向かったのは…。

【記者リポート】「京都市で初めてネーミングライツを導入したのが、こちらの野球場です」

高校野球の試合などが行われる「わかさスタジアム京都」。

京都市が所有し、「西京極野球場」という名称でしたが、2009年、「ブルーベリーアイ」などのサプリメントで有名な地元企業の「わかさ生活」がネーミングライツを取得したのです。

球場名の変更だけでなく、観客席の改善にも取り組んだようで、一面に広がるのはブルーベリーを思わせる紫色の座席。

【わかさ生活メディア広報チーム 井野佑美さん】「広告・ブランディングとして、すごく大きいかなと思いまして。電車で通ってると、紫色の座席がぶわっと広がるわかさスタジアムが見えるので、電車に乗っている方にもブランディングになっているかなと」

野球好きの社長の一声で決まったというネーミングライツの取得。当初は年間2500万円で5年間の契約でしたが、すでに3回更新しています。

■「地方自治体の自主財源」ができるが「地元住民からの反発」も

自治体のネーミングライツ導入の背景には何があるのか。

専門家は…。

【ネーミングライツに詳しい鳴門教育大学 畠山輝雄准教授】「地方自治体の財政難に伴って、自主財源を確保しなければいけない。初期投資なしで収入が得られるという策として注目されている」

一方、デメリットとしては。

【ネーミングライツに詳しい鳴門教育大学 畠山輝雄准教授】「地域住民や施設利用者からの反発が生じている事例が結構あります。あとは契約期間中に、スポンサーが経営破綻したりとか、不祥事等が起こったことによるイメージダウン」

過去、京都市の美術館のネーミングライツをめぐって、「歴史ある美術館の名前を企業に売却するのは、いかがなものか」などと反対する声が。

それをきっかけにネーミングライツの公募にあたっては、市議会の関与が必要になりました。

■大阪公立大学には新キャンパス含め3カ所にネーミングライツが

大型施設でのネーミングライツが目立っていますが、実は大阪では意外な場所にも。

【記者リポート】「ここ大阪公立大学の学生ラウンジなんですが、壁のいたるところに企業の名前が貼ってあります」

9月、新しく誕生した大阪公立大学の森之宮キャンパスには、「SMBCスカイラウンジ」なるものが!

【学生】「銀行のATMがあるんかなと思った」

大阪公立大学では、他のキャンパスも合わせて3カ所にネーミングライツを導入。その狙いは…。

【大阪公立大学渉外企画課 松室光課長代理】「学生に企業の名前を知っていただくことは、非常に大事だと認識しております。そのきっかけに双方としてなればと考えています」

さらに街中には…大阪市の天王寺動物園の入り口横の公衆トイレに企業名が。

■「信用・地名度につながる」と歩道橋に名前を付ける企業

そしてこんなところにも!

【記者リポート】「あべのハルカスすぐ真下の歩道橋にも企業名書いてありますね」

歩道橋に名前を付けているのはいったいどんな企業なのでしょうか?

社員数170人ほどの友安製作所。家具の製造や、カフェの経営など多岐にわたる業務をしています。

歩道橋に名前をつけてから6年がたちますが…。

(Q.歩道橋見てカフェに来るお客さんは?)
【友安製作所 友安啓則代表】「結構いらっしゃいます。歩いていて、『友康製作所なのにカフェ?』みたいに検索されて。信用度にもつながりますし、知名度もつながりますし、ありがたい」

大阪市には、年間およそ240万円と大きな金額を支払いましたが、効果は抜群だったようです。

■“歩道橋ネーミングライツ”実は初めて導入した自治体は大阪府

歩道橋のネーミングライツ、府内では大阪市以外にもあふれていて…。

【記者リポート】「ここの歩道橋にも病院の名前が書いてありますね!」

実は全国で初めて歩道橋のネーミングライツを導入した自治体は、大阪府なのです。

なぜ歩道橋に目をつけたのでしょうか。

【大阪府財政部行政経営課 福島舞さん】「大きな“箱もの”に対して、名前を付けるという大きな判断をするのか。(歩道橋は)取り掛かりやすい、やってみやすいというのがあった」

大阪府が管轄する歩道橋は、どこでも原則年間30万円となっているのです。

■和歌山県・初「県立体育館」でネーミングライツの募集開始も「問い合わせはまだ」

そんな中、初めてネーミングライツに乗り出した自治体が…体育館を所有する「和歌山県」です。

【和歌山県スポーツ課 服部克彦副課長】「きょうは高校生がバレーボールの練習を行っています」

1964年に設立された和歌山県立体育館。春高バレーやVリーグ、バスケットボールの大会が行われるなど、稼働率90%以上の人気施設です。

とはいえ、厳しい県の財政…収入を増やすため10月1日に、県の所有施設としては初めてネーミングライツの募集を始めたのです。

【和歌山県スポーツ課 服部克彦副課長】「色んな大会が開催される時に、特にスポーツ関係で露出が増える。しっかりした企業であること、提案していただく金額、様々な部分を総合的に考えて決定をしていきたい」

契約期間は来年4月から3年以上で金額は年間300万円以上。

しかし現時点では…。

(Q.問い合わせは?)
【和歌山県スポーツ課 服部克彦副課長】「まだですね…そろそろ来てほしいなと、若干焦りが…」

(Q.300万円高いとなれば、交渉の余地は?)
【和歌山県スポーツ課 服部克彦副課長】「あります」

(Q.担当としては300万円がいい?)
【和歌山県スポーツ課 服部克彦副課長】「県としてはできるだけ500万円とか高い方がうれしいですが…」

受付終了まであと1カ月ほど…「お待ちしています」とのことです。

(関西テレビ「newsランナー」2025年10月23日放送)

関西テレビ
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