地域の課題解決につながることを期待される、新たな副業の形に迫りました。

田んぼの中を縦横無尽に走るロボット。
そのロボットに近づき、メモを取ったり何やら数字を書き込んだりしている男性の姿がありました。

男性:
ソニー株式会社の笠丸と言います。

長野・塩尻市で4年前に創業した農業系のスタートアップ「ハタケホットケ」。

この日、ラボで行われた打ち合わせに参加していたのはソニーの品質保証部門の笠丸担当部長です。

ソニー品質保証第2部門・笠丸陽一担当部長:
きっかけは社内の副業の募集がありまして、率直に面白いなと。

ソニーではこの夏、塩尻市のNPO法人と協力して社員の副業制度を実験的にスタート。
募集枠を超えた応募があり、そのうち4人の社員が実際に副業を始めました。

ソニーピープルソリューションズ・吉川幹人さん:
この副業制度はソニー社員としてではなく個人としてなんですけど、社員がサステイナビリティだったり地域社会で実際に体験するような場。また、社会課題について考えるような機会を提供する。

平日は東京で本業をこなし、週末など業務外の時間を利用して長野で副業。

もともと、スマートフォンの品質保証業務の中でデータ分析などを行ってきた笠丸さんですが、こちらのベンチャー企業ではソニーで得た経験を生かし、水田や除草ロボットの性能をデータ化した品質評価やユーザーからのフィードバックの収集・分析などを行っています。

笠丸さんの提案で始めた苗の強度を測る実験では、除草ロボットを走らせる際に苗がどのくらいまで成長していれば土から抜けたり傷めたりせずに済むかを計測します。

後継者不足や耕作放棄地の問題など、様々な課題を抱える地域の支えになれればと地道な実験と改良を続けます。

ハタケホットケ・日吉有為代表取締役:
めちゃくちゃ科学的になりました。今までは本当に勘というか、まあこんな感じかなというところでやっていたことが、全てきちんと定量化してデータを取って、きちんと科学的に分析をして本当に会社としてレベルが格段に上がったと思っています。

副業として働く人と受け入れる企業が、共に笑顔になるこの取り組み。

ソニー品質保証第2部門・笠丸陽一担当部長:
やっていること自体が何か“この仕事をやりなさい”という依頼されているものではなく、どちらかというと自分で提案型でやっていくというところもありまして、副業とは言いつつも今までのスキルを生かした楽しみになっているようなところもあります。

本業とは違った体験をしながら地域の課題を解決。
ソニーでは今後も副業に限らず様々な機会を社員に提供し、人材の成長や社会貢献につなげていきたいとしています。