23日、開催されるプロ野球ドラフト会議。新型コロナの影響で高校時代を不完全燃焼で終え、プロの舞台でリベンジを誓う大学生2人を紹介します。

午前6時過ぎからグラウンドで活動する選手たち。日本大学野球部のメンバーです。大学野球の名門として知られるこの大学でプロスカウトが注目するのが、白山市出身の谷端将伍選手です。

谷端選手:
「バッティングなんですけど広角に長打が打てるっていうことと一番は勝負強さかなと思っているのでそこを武器にしています。」

身長178センチ、体重80キロと決して大柄ではない谷端選手。それでも毎年ドラフト上位で指名される選手を輩出する東都1部リーグでベストナインを3回、首位打者を2回獲得し今年は大学日本代表にも選ばれました。

そんな谷端選手が野球を始めたのは小学1年生の時。当時からプロ野球を夢見ていた谷端選手は軟式野球の名門、星稜中学校に進学します。

谷端選手:
「厳しい環境というのはわかっていて日本一を目指せる一番近い環境だったのでそこに進学して頑張ろうと…」

中学では全国でベスト8になるなど一定の結果を残しました。しかし、進学した星稜高校でさらなる衝撃を受けたといいます。

谷端選手:
「こういう人たちがプロに行くんだなって思って超えたいというよりは憧れの存在というかそんな感じでした。」

当時の星稜はまさに黄金時代。谷端選手の2学年上は3球団から1位指名を受けた奥川恭伸投手と巨人に5位で指名された山瀬慎之助選手が、1学年上にはヤクルトから3位で指名された内山壮真選手と去年、日体大を経てオリックスに2位指名された寺西成騎投手が在籍。甲子園準優勝を果たします。

谷端選手:
「レベルも高くて、毎日刺激を受けましたしとにかくもっとやらないとなって思っていました。」

分厚い選手層に阻まれ、なかなか試合に出られなかったものの最上級生になった2年の秋からはスタメンで出場。先輩たちが果たせなった甲子園優勝を目標に最後の県大会に臨んでいました。

しかし…。

谷端選手:
「正直頭が真っ白になって、試合ができずに引退という形になったのでとにかく悔しいという思いよりは驚きというか。何を考えていいのかわからない状態でした。」

野球部員が新型コロナに感染。最後の大会は出場辞退という形で幕を閉じました。

Q 棄権したあと甲子園は見た?
谷端選手:
「見なかったです。県大会はニュースで入ってくるのでどこが優勝したかわかっていたんですけど甲子園大会は特に見ていなかったです。(高校3年生は)野球人生の中で一番大きな1年だったなと思います。」

不本意な形で高校野球が終わった谷端選手。それでもプロ野球選手になるという夢を叶えるため日本大学に進学しました。

谷端選手:
「東都リーグというのはレベルの高さというか常に緊迫した状況というか、そこで成長できるかなと思って選びました。そこで頑張れば上の世界で野球ができるのかなと思っていたので。」

大学入学後は日本代表に選ばれるまでに進化を遂げます。

その理由を日本大学を率いる片岡監督に聞くと…。

日大野球部 片岡昭吾監督:
「チーム一、練習できる体力と忍耐力と課題に取り組む継続力。これが彼のここまで結果を残してきている一つの要素かなと。この選手は育てて将来上のレベルでできるような選手にしなきゃいけないなと、そういう使命感はありました。」

プロ野球選手を目指して誰よりも努力を重ね、ドラフト候補まで駆け上がった谷端選手。子どもの頃からの夢はもう目の前です。

谷端選手:
「日本を代表するようなスラッガーであったり内野手になりたいと思っています。」

星稜高校の卒業生でプロ志望届を出したのは1人だけではありません。

野口投手:
「空っぽになったというか目指していた甲子園が急に無くなったので何のためにここまで野球をやっていたんだろうという気持ちになりました。」

谷端選手の同級生、野口練投手です。

野口投手:
「「不完全燃焼だ。不完全燃焼だ」って親にも言いましたし周りの人にも言っていました。絶対、大学に行ったら花咲かせてやろうという気持ちには逆になりました。」

大学でのリベンジを誓った野口投手が選んだのは…近畿大学体育会硬式野球部。

これまでプロ野球選手を70人も輩出してきた関西の名門です。

高校時代はエースだった野口投手でしたが大学のレベルの高さに圧倒されたといいます。

野口投手:
「1年の秋に立命館大学戦に出させていただいたんですけどストライクが入らなくて置きにいった真っすぐをライト前に打たれて(1アウトもとれず)3分の0回で交代したっていうのがあった。」

Q このままじゃ通用しないと思った?
「ありました。「やばい」って思いました。」

そこからトレーニングを重ね球速を10キロ上げた野口選手。関西を代表するピッチャーとなり去年は大学日本代表にも選ばれました。そこではこんな出来事が…。

野口投手:
「星稜の先輩の寺西さんがいて再会したという感じでちょっとうれしかったです。久しぶりに寺西さんのボールを見て「わあ、やばいな。プロじゃん」みたいな球になっていた。そこでも「やばい」と思ったんですよ。」

憧れの先輩と再会したことでプロとの距離を実感した野口投手。ピッチングにさらに磨きをかけ最速147キロまで球速の上がったストレートと抜群のコントロールの変化球を武器に今年の春のリーグ戦では9試合に登板。35回と3分の2を投げ無失点で抑えるなど大車輪の活躍でチームを優勝に導きました。

野口投手:
「防御率0.00で1点も取られなかったので、その成績が特に自分の自信にもなりました。」

近畿大学を率いる光元監督も野口投手のピッチングに太鼓判を押します。

近大野球部 光元一洋監督:
「球のキレ、コントロール、スピードもあるんですけど一番は独特な投げ方からくる変化球の曲がり方。そこらへんはほかのピッチャーと違うところがあると思います。信念をもって(練習が)できるので、そういった意味ではコツコツとやることで長く現役時代を過ごせるような選手になるんじゃないかなと思います。」

高校での不完全燃焼を乗り越え大学で花を咲かせた野口投手。吉報を待ちます。

野口投手:
「(プロでは)ずっと2年間投げ切れるピッチャーでありたいと思いますし、チームに必要とされる存在になりたいと思っています。」

2人は今もよく連絡を取り合う仲なんだそうなんです。そんな2人が、同じチームに入りたいのかそれとも違うチームで対戦したいのか、こちらも聞いてきました。

谷端選手:
「プロで対戦したいっていう気持ちもあるんですけど欲を言えば同じチームでもう一回一緒に野球をしたいっていうのがあって、最後の夏がああいう形だったので一緒に一軍の舞台で活躍したいって思いは強いです。」

一方、野口投手は…。

野口投手:
「僕は同じチームに行きたいです」
Q 理由は?
「高校の時に「1カ所ババッティング」ってメニューがあって僕がピッチャーで谷端がバッターだったんですけど、毎回のように打たれていたので対戦したくないです。」

石川テレビ
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