全国各地で相次ぐクマによる被害。
特に東北地方では連日のように人身被害が出ています。
山陰での出没する危険性はどの程度あるのか、エサの豊作・不作の状況から探ります。
全国各地で相次ぐクマによる人身被害。
岩手県では先日、温泉宿で従業員の男性がツキノワグマに襲われて亡くなったほか、宮城や秋田、福島などでも死傷者が出る被害が相次いでいます。
被害の多くが東北地方に集中していますが、その理由について専門家は次のように指摘します。
島根県山間部地域研究センター・澤田誠吾科長:
東北はまとまったブナ帯があるので、ブナの豊凶っていうのは出没に大きな要因を与えているというふうに考えている。
クマが人里に現れる理由が「エサ不足」であることはよく知られていますが、専門家によると、東北地方は今年全国的に不作なブナが多く自生しているため、クマの出没が東北に集中しているといいます。
それでは山陰はどうなのか。
山間部地域研究センター・澤田誠吾科長:
(山陰はブナが)分布している面積が非常に少ない。
その一方で、ドングリとか堅果類が今年は非常に豊作から並み作で非常に良いので、この時期の出没は非常に少ない傾向。
島根・鳥取両県が行った2025年度のドングリ類の調査では、両県ともブナが不作の一方、ミズナラやコナラといった他のエサが豊作となっています。
不作のブナは元々、中国山地での分布が限定的なため、クマ出没への影響は少なく、東北ほどの出没リスクはないといいます。
実際に2025年度9月までの山陰での目撃件数は島根県で572件、鳥取県で58件で、2024年の同時期と比べて両県ともに半減しています。
しかし、これからの時期は山陰でも注意が必要だといいます。
山間部地域研究センター・澤田誠吾科長:
秋という時期は非常に食い込み時期で、脂肪を冬眠に向けてしっかりとつけなくてはいけない時期になる。
その中で木の実が少ないと、エサを求めて行動が通常の行動よりも倍になるということも知られている。
例年、クマは12月中旬まで人里で目撃されます。
山菜採りや、キャンプ紅葉のシーズンとも重なるため、専門家は今後も警戒を続けるよう呼びかけています。
クマに出くわさないための注意点です。
放置された果樹を取り除いておく、生ごみは適切に処理する、犬や猫用の餌を外に置かないこと。
山に入る場合はクマよけの鈴や携帯ラジオを着用して自分の存在を知らせる。
出くわした場合は背中を見せずにゆっくりと後ずさりしてその場を離れる。
クマは基本的に臆病な性格ですが、身の危険を感じた場合には攻撃してくることもあります。
寄せ付けない、刺激しないことが鉄則です。