自民党と連立を組んだ、日本維新の会の吉村洋文代表が関西テレビ「newsランナー」に出演し、連立交渉の舞台裏や今後の政権運営の展望を語った。

■高市さんからの心を動かした言葉は?「熱い思いがひしひしと伝わった」
【吉原キャスター】「自民党と連立を組むことになった理由に『高市さんの熱意を感じた』という話をよくされるのですが、具体的に吉村代表の心を動かした言葉を教えてください」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「この言葉があったからというよりは、会ってしゃべるとそうなんですけど、『日本を良くしたいんだ』という熱い思いが、ひしひしと伝わってきます。
僕もこれまで大阪で、本当に賛否あるような改革もやってきましたので、僕からも熱量をぶつける、その熱量と熱量のぶつかり合いみたいなのができたので、そういった意味ではちょっとシンパシーは感じるところはありました」
【吉原キャスター】「一緒にやりましょう」という言葉もあった?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「ありました。『一緒にやろう』と。一緒に前に進めていこうという高市さんからの話はありました」

■「高市さん自身の信頼度は100%」 自民党は“ぬえ”みたいな政党
【犬山紙子さん】「すごいスピードで決まった印象があったんですけれども。これまで選挙で自民党に対しては、しっかりと批判してらっしゃったと思う。だから急に『がっつり組むぞ』という100%の信頼なのか、それとも今何割ぐらい自民党への信頼感があるのでしょうか」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「今回の連立合意書というのは、維新の改革もかなり入ってるものなんです。これを高市さんが国政レベルで、合意するのか、飲むのか、応じてもらえるのかというのはありましたが、この数日間、昼夜問わず協議しましたけれども、高市さんは国を前進めていく上で、『これが必要だ』という思いが伝わりました。
我々の改革も、議員定数削減を言ってますけど、あれは維新の1丁目1番地ですから、そういったこともやるということも含めて言ってくれてるので、いま日本の国政については、なかなか前に進まないので、前に進めていきたいと思ってます。
大阪府政とか大阪市政とか地方の政治は、維新の会としてしっかり進めていきますけれども、国政・日本維新の会が数も少ない中で、なかなか維新の改革もできないという中で、ある意味高市さんと12項目について、がっちりと合意ができた」
【吉原キャスター】「信頼度は何%?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「高市さん自身への信頼度は100%。ただこれ難しいのが、自民党っていう政党は、よく松井さんからも言われるんですけど、『“ぬえ”みたいな政党やから、吉村お前気をつけろよ』と。『そんな簡単なところちゃうよ。お前が思ってるような政党じゃないで』という話を聞きます。
例えば馬場さんも結構、自民党にずっといたので、維新のメンバーで元々自民にいた人は結構いますから、そういった意味では、『自民党というのは、本当に難しいとこだよ』とアドバイスも受けながら判断します。
ただ高市さん個人というか、総理自身は、本当に熱い熱意を持ってると思うし、約束を破るような人じゃないと思っているし、この間のやりとりで、非常に基本的な価値感、国家間、外交防衛、安全保障、そういったところで共有できるなと思っています」

■小泉氏が総裁選で負けた時「僕はもう一旦引こうと思った」
【吉原キャスター】「自民党と連立を組んだ党は、公明党を除いて全て消滅しているというデータもある中で、最近の維新の状況はというと、国政選挙で2021年、2024年と議席数を減らしてきています。
なかなか党勢拡大が図れていない中で、一気に与党入りということになりました。
いつからこのシナリオを描いていましたか?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「最初はなかったですね。僕たちが本当に大事にしているのは、『公約を実現する、約束を守る』ということを位置づけにしてるので、その時で議席の増減ありますけど、何か議席が多いから少ないからとか、そんな理由で今回の合意に至ったのではないということです。
当初、総裁選で僕は小泉進次郎さんの改革に気脈を通じるところあるんですけれども、実際にやってきた。
菅元首相は絶対に約束破らない人ですから、そういった意味でそのころは色々考えてましたが、小泉さんが総裁選で負け、高市さんが総裁で勝った時は、僕はもう一旦引こうと思いました」
【吉原キャスター】「10月4日の段階では1回引こうと思っていた?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「だから連立は全く考えていなかったし、もうそれもないだろうなと思っていました。つまり高市さんと国民民主党との政策が非常に近いんじゃないかと言われていましたから。
他党の政策の実現を邪魔するって僕、嫌いなんで。だからもう『どうぞ、どうぞ』と。『国民民主党と自民党の高市さんがやるんだろうな』と思ってましたから。僕はちょっと引いて、万博の閉幕を迎えてちょっとゆっくりしようかなというふうに当初は思ってました」

■大きく流れが変わった10月10日 公明党の連立離脱
【吉原キャスター】「それがどのあたりから変わった?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「まずは10月10日の公明党の連立離脱。ここは本当に1つの『吉書』(きっしょ「大事な機会や節目」)になったと思いますね。
我々が関係するとこではないんですけれども、公明党が連立離脱をして、公明党が離脱すると同時に、なぜか国民民主党も一緒に高市さんからスーッと引いていったなと僕は見た。
そこから10月13日。忘れもしません、万博の閉幕日に、高市さんから電話がかかってきて。ちょうど夜、『重要な話がしたいんです』というのがあって、細かな話は言いませんけど、そこで40分ぐらい話をして。
これは僕も重大に受けとめなければならないと判断したので、その2日後の『水曜日に東京で会いましょう』という話をして、僕と藤田共同代表と高市総裁の党首会談になった。
【吉原キャスター】「万博閉幕の日に連立のシナリオが生まれ始めていた?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「そこまで連立ずばり、ということはなかったですけど、その時に僕が言ったのは、『社会保障の改革』そして『副首都』。ここについて『どう思われますか』と聞いて」
【吉原キャスター】「高市さんに電話で話した?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「そこは電話で話しました。僕はそこに対して、非常に強い思いを持ってるので国政においては。
なので副首都の話もしましたし、それに対して高市新総裁が『私も賛成だ』とおっしゃったので、であるならば協議の土台があるなと判断しましたから、15日の会談につながったということですね」

■まず手をつけたい政策「議員定数削減」
連立合意文書の一部を抜粋したものをスタジオに用意しました。
経済対策、社会保障政策、そして福祉都構想などの統治機構改革、議員体数削減も出てきた政治改革などもあります。
【吉原キャスター】「まず手をつけたい政策は?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「次の臨時国会も始まりますから、物価高対策です。まず、次の臨時国会で何をするのかが非常に重要だと思っていて、その中で1つは、今の国民の皆さんの生活がしんどいということは間違いないと思いますから、それ高市さんとも話をしました。
ガソリン減税について、やるとかやらないとか言いながら、もうこちゃこちゃして結局実現しないまま、ここまで来たので、もうこれは絶対にやるべきだと。
しかもこれは、次の令和7年臨時国会中、つまりこの12月までに絶対にやるべきだという話をして、高市総裁も『分かった』ということなので、これは合意に入ってるということです。
もう1つ、そこに書いてないんですけど、電気代とかガス代とか今、物価高なのでエネルギー代と食料品が高いので、電気代がガス代の補助支援、生活支援です。それについても、ちゃんとやろうということが合意事項に入っています。
それから臨時国会で、僕が議員定数削減と言っています。改革のセンターピン。
その先に、社会保障改革、副首都構想とか、それ以外にも実は12項目あって、『12本の矢』と呼んでるんですけど、12項目プラス50の政策が実は合意してるんです。
かなり多いんですけど、その中で色んな賛否両論が必ず出てくるのがたくさんある。
僕らが大阪維新の会として改革をやってきた、実践した集団としての経験に基づくと、口で言うのは簡単だけどこれ実行するのがすごく難しいんですよ政治って。
でもやらなければ意味がないし、僕らは少なくともそう思ってやってきたし、どうやってやってきたかというと、実は一番最初僕らがやったのは、議員定数の削減から始めたんですよ」

■原点は議員定数削減 大阪の財政を立て直した実績
【日本維新の会 吉村洋文代表】「『隗より始めよ』ということで、大阪府議会の定数を109から88まで、約20%削減をしました。
それは直接に生活に関係するかというと、関係しないかもしれないけれど、それをやったからこそ、まず自分たちの政治家として自分たちのことからやろうというので、議員定数削減って一番政治家がやりたくないことです。
これを本気の改革でやったからこそ、そのあと赤字だった大阪府政はこの16年間ずっと黒字です。色んなとこに補助金ばらまかれてたんですけど、それである意味、恩恵を受けてる人も事業者も業界団体もありましたが、僕ら『それはもうやめる』と、『おかしな補助金はもうやめさせてもらいます』というと、それもやめた。
そして財政も大阪府も大阪市も非常に悪かったんですが、今めちゃくちゃいい財政に変わってきました。
それで財源を生み出して、例えばウメキタとか色んな大阪の町に投資をして、町も随分きれいになってきました。
そして子供たちの教育の投資とか、僕は知事として高校授業の無償化やってますが、これ増税でやってないんですよ。借金を増やしてやってません。むしろ財政立て直して、やってる。そういったこともどんどんやって、万博までできるようなった。
でもよく考えたら原点って、議員定数削減だったんですよ。なので今回、国政においてもこれは地方の政治じゃありませんが、社会保障の改革とか、これも必ず反対は出ます。医師会だって反対だろうし、色んな改革やっていこうと思ったら、しんどいことはたくさん出てきますよ。
副首都もそうだし、色んなことが出てくる。でもそれをやるんだったら、『まず隗より始めよ』で、自分たちの政治家の議員定数削減をやろうと。
しかもそれは、自民党と民主党(当時)が合意しているのに、今までやってこなかったわけですよ。だからそれをまずやろうっていうので、臨時国会でやると」

■「高市さんを信しています」と吉村代表
【吉原キャスター】「議員定数削減について合意書では、『一割を目標に衆議院定数を削減するため、議員立法案を提出し、成立を目指す』とし、『成立させる』とは書いていません」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「議員定数削減というのは、もうむちゃくちゃ難しいというのは、分かってます。分かってるんだけども、高市さんが『やる』と合意してくれたので、そういう書き方をしたということです」
【吉原キャスター】「政策実現できなかったら連立解消はある?」
【日本維新の会 吉村洋文代表】「高市さんはそこも含めて、自民党の総裁ですから『これは自民党としてやる』と決断してくれました。これは簡単でありません。自民党の中では、『議員定数削減なんてやりたくない』、『自分たちの椅子がかわいいのに、こんなのやれたら困る』と思ってる人は、今でもたくさんいらっしゃると思います。
でもこれは自民も民主も約束したことだし※、国民との約束果たせていないわけです。高市さんは表向いて、『これはやる』と言ってくれましたので、自民党でしっかり、絶対まとめてくれると僕は信じています」
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月21日放送)
※2012年に党首討論で民主党の野田首相(当時)が議員定数の大幅削減を提案すると自民党の安倍総裁(当時)が受け入れを表明。
