京都・嵐山の人気観光地「竹林の小径」で、竹に名前やイニシャルなどを刻む落書き被害が相次いでいる。

取材で、落書きされた竹は少なくとも300本以上にのぼっていることが分かった。
竹300本以上に刻まれた名前やイニシャル
連日、多くの観光客が訪れている京都・嵐山。その観光名所「竹林の小径」で、ある迷惑行為が相次いでいる。
取材班:
見て下さい、落書きがあります。何かで削ったような跡があります。書かれている文字はアルファベットです。

取材班:
ハートマークの中にイニシャルのようなものがあります。カップルが記念に残していったのでしょうか。

竹の表面に様々な文字で刻まれた落書き。漢字でカップルらしき男女の名前が書かれたものや、アルファベットで「Revengers」と書かれたものもある。

中には上から下までびっしりと落書きされた竹もあった。

観光客:
こういった伝統のものなので、あんまり良くないかなと。
観光客:
はっきり言ってどうかしてると思っている。何故そんな事をするのか分からない。
アメリカからの観光客:
とても悲しいです。ここまで育つのに時間がかかるのに。

道路の脇に青々とした竹が生い茂る「竹林の小径」。まるで竹のトンネルを歩いているかのような雰囲気を味わえるとして、国内の観光客のみならず外国からの観光客にも人気のスポットとなっている。
メキシコからの観光客:
リフレッシュ出来るし、私達の国とは雰囲気が違うわね。
メキシコからの観光客:
とても落ち着くよ。
広島からの観光客:
凄く綺麗でびっくりした。
増え始めた竹への落書き…啓発ポスターも
「竹林の小径」には日本語のほか、中国語・英語・韓国語で落書き禁止を呼びかける看板が設置されている。

しかし取材班が落書きされた竹の数を数えたところ、少なくとも300本以上あることが分かった。

このあたりの竹林の管理を行っている「人力車のえびす屋」運営会社の満井一貴さんに話を聞いた。
取材班:
落書きは何年前から?

えびす屋總本店・満井一貴さん:
7~8年前かなという気はするが、この1年、2年ぐらいでまた増えてきたという気はする。先の尖ったもので傷を入れているのが多い。

落書きは7~8年前から増え始め、コロナ禍でいったんは減ったものの、最近再び増えているという。

えびす屋總本店では、落書きしないよう呼び掛けた啓発ポスターを人力車に張っている他、落書きされた竹の一部に養生テープを貼って目立たなくするなどの対策を取っている。

えびす屋總本店・満井一貴さん:
見栄えも良くないし出来れば(養生テープは)したくはないが、落書きされているよりは貼ってる方がましかなと。きれいな景色を見ていただきたいので、こういう落書きはやめてほしい。
枯れてしまう可能性も…市は伐採も検討
落書きの影響は景観を損ねるだけではない。専門家は竹の生育にも影響がでると指摘する。
京都府立植物園樹木医・中井貞さん:
(竹は)表面も全て植物細胞で成り立っていて、傷がつくことによってそこの細胞はもう再生することはない。
取材班:
以前の色を取り戻すことは難しい?

京都府立植物園樹木医・中井貞さん:
その箇所が再生するということはない。
さらに、落書きされた竹は倒れてしまう危険もあるという。

京都府立植物園樹木医・中井貞さん:
(落書きが)少しの量であればそれほど影響はないかと思うが、全体に行き渡るような傷がつくと、植物体全体が光合成をしているが光合成ができづらくなって、枯れてしまうことが考えられる。放っておくと倒れてしまう。

京都市は、落書きされた竹の伐採も検討しているという。
人気観光地での許しがたい迷惑行為。訪れた人、一人一人のマナーが問われている。
(「イット!」10月20日放送より)