一部区間の廃線が検討されている富山地方鉄道についてです。

会社は6期連続で赤字が続き、1993年度からの累積赤字は61億円ののぼります。

こうした状況から採算がとれない本線の滑川―宇奈月温泉間、それに、立山線の岩峅寺―立山間で、沿線自治体から支援などの方針が示されなければ来年の11月末で廃線にするとしています。

この立山線について、利用客や立山町の見解を取材しました。

15日午前8時すぎの電鉄富山駅です。

富山県の内外や海外から訪れた多くの観光客の姿がありました。

*リポート
「午前8時20分に電鉄富山駅を出発した立山行きです。この時間帯座席は埋まっていて、中にはつり革を握り立っている人の姿も見られます」

いま、廃線が検討されている立山線の岩峅寺ー立山間。観光客に聞くと…

Q岩峅寺から立山の区間が廃線になるかもしれない

*観光客(札幌から)
「え?じゃあ不便じゃないですか?こんなに外国の人もいっぱいいるのに困りますよね。なくなると個人で来る人が不便になる」

*観光客(大阪から)
「我々は来たい時に来るので勝手ですけど、廃線はありえない。こんだけ人が来ているのに。とくに外国の人がたくさん並んでいたので、ぜひ続けてほしい」

*観光客(イギリスから)
「残念だ。この電車に乗ることも1つの楽しみ、これから立山に行けなくなったら残念」

廃線が検討されている区間の1日あたり平均乗降客数は岩峅寺駅が320人、立山駅が471人ですが、そのほかの駅は、20人未満です。

15日取材した立山駅行きに乗る客のほとんどがアルペンルートへ向かう観光客でした。

*富山地方鉄道 企画部 吉川護副部長
「かなり緊迫しております。少子化や燃料費、資材費の高騰などで非常に収支が厳しくなっている。2021年ごろからこのままでは鉄道線の維持は難しいと再三(県や沿線自治体に)話をしてきた、その議論がやっと表立って大きな議論になってきた私どもとしては以前からご相談させていただいていた認識」

富山地方鉄道は採算がとれる立山線の区間は電鉄富山から五百石までとしています。

ただ、採算が取れない五百石から岩峅寺までは、不二越・上滝線との結節点であることを考慮し、運営を継続する方針です。

しかし、岩峅寺から立山までについては山間部でメンテナンス費用が高く、経営を圧迫。

現段階では廃止届の提出に向けた準備を進めています。

これに対し、立山町は町民の生活路線、そして県全体の観光路線だとして維持を目指しています。

現在、利用実態や収支の改善に向けた調査を行っていて、来月を目途に県や沿線自治体、富山地方鉄道に対し、存続策の提案を行う方針です。

*立山町 舟橋貴之町長
「町にとって(立山線は)背骨だと思いますよ。11月末までに立山町として『こういった方法でやれば立山線を残せるのでは』という提案をさせていただきたい」

舟橋町長は、アルペンルートの観光客82万人のうち、10万人が立山線を利用している実績を踏まえ、路線の維持を図る費用の一部を観光客に負担してもらう必要があると話します。

*立山町 舟橋貴之町長
「電鉄富山から立山が1420円でも2000円でも乗られる方は乗られるだろう。仮に580円の差額があれば1万人で580万円。アルペンルートに来られる人のうち10万人は地鉄立山線を利用するならば580円の値上げで5800万円の売り上げ増になる。利用者の多くが観光客ですから観光客の方に負担していただく方法を考えている」

観光客から多く運賃を取る一方、学生などの地元の利用者にはICカードや定期券で補助や割引をすれば、すみ分けができると話します。

このほか町で導入を検討している宿泊税で得た財源の活用や立山駅前で県が管理する無料の駐車場を町で運営し有料化することで財源を得るなど、いくつかの方策を提案する予定です

*立山町 舟橋貴之町長
「立山駅まで電車が繋がらなくなると4~5月の大勢のインバウンドをどう運ぶのかどちらかといえば経済効果からすれば富山市にとって大変な問題、富山市は県都だから県全体の問題なんだろうと思う」

地鉄が廃止届の提出を予定しているのが12月。

それまでに、存続策がまとまるのか、注目されています。

*富山地方鉄道 企画部 吉川護副部長
「お金を出していただけたら維持するというようなことは言ったことがない。地域と一緒になって必要なのかどうかどういう風に残していくかを問いかけている。地域の人がどう思っているか理解とコンセンサス(合意)をどう求めていくのか、どんな取り組みをやっていく思いがあるか話をいただければと考えている」

富山テレビ
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