長野県内では10月に入り、9件9人が遭難し、そのうち5人が死亡しています。県山岳総合センターはキノコ採りに潜む危険や遭難防止のポイントをまとめた動画を作り注意を呼びかけています。
秋の味覚・キノコ。今年は、猛暑の影響で出遅れていましたが、9月末ごろから徐々に出始め、売り場をにぎわしています。
キノコ採りで山に入る人も多い時期ですが、気を付けなければいけないのが遭難です。
県山岳総合センター・竹田昴さん:
「(発生の)ペースは早い印象を受ける。連続的に起こっているなという印象」
県警の救助隊員に囲まれている黒い上着を着た男性。10月7日、松本市波田の山林での救助活動の様子です。
単独でキノコ採りをしていた82歳の男性が滑落し、一夜明けて、救助されました。男性はけがを負っていたものの、命に別条はありませんでした。
県内では、10月だけでキノコ採りによる遭難が9件発生しています。9人とも70代以上の高齢者で、このうち5人が死亡しています。5人のうち4人は滑落で、1人はクマに襲われたとみられています。
安全な登山の普及や啓発などを行う、県山岳総合センターの竹田昴さんは、キノコ採りに潜む危険について次のように話します。
県山岳総合センター・竹田昴さん:
「登山道外での活動が主になるということ。急しゅんな地形に入り込みやすい。見つけてしまったら採りたいという欲が出る」
キノコ採りの男性(動画):
「おお、あったあった」
青年:
「え、どこどこ?」
キノコ採りの男性:
「そこそこ!見えるかな?」
青年:
「あ、本当だ!マツタケだ!僕が先に採りに行っちゃおう」
キノコ採りの男性:
「おいおい!ちょっと待て!あぶねえな。いきなり行ったらスリップして落ちるよ」
こちらは、センターが公式ユーチューブチャンネルで10月から公開している動画です。2人の男性が実際に山林でキノコ採りを行う中で、潜む危険や遭難を防ぐためのポイントなどを解説しています。
青年:
「あれ、そういえばおじちゃん、携帯電話持ってる?」
キノコ採りの男性:
「持ってないよ。キノコ採るっているときに携帯落としたら余計面倒じゃん」
青年:
「さっきも言ったけど、キノコ採り遭難では、道迷いがすごく多いんだよ。発信電波をキャッチして位置情報を特定することもできる。だから、万一に備えて、携帯電話は必ず持って行かなきゃだめだよ」
他にも、入る場所を家族に伝えること、ヘッドランプや防寒着を携行することなども呼びかけます。
動画を通じて、キノコ採りに行く人だけでなく、家族など周囲の人にも危険性や準備の必要性を知ってほしいとしています。
青年:
「初めてキノコを見つけた時の感覚は、ワクワクしてすごくいいね」
キノコ採りの男性:
「けどね、自分の家の裏山みたいなところでも、山なので何があるかわからない。装備をしっかり準備したり、読図の練習をしたり、準備をして安全を確保して楽しんでいきたいよね」
県山岳総合センター・竹田昴さん:
「何も知らずに挑戦するのではなく、まず、どういうリスクがあるのか知ること。技術的、装備的なところ、しっかり準備をして臨むということを意識していただきたい。家族内で、仲間内で共有してもらえたら、山菜・キノコ採りに行かれる方の啓発になる」
キノコ採りの遭難相次いでいますね。まだキノコ採りのシーズンが続きますので、動画を参考にしながら気を付けたいですね。