今週月曜まで開催された自転車の国際ロードレース『マイナビツール・ド・九州2025』。
世界最高峰の選手たちが熊本を含む九州5県を駆け抜けました。熱戦が繰り広げられた4日間を振り返ります。
【郡司 琢哉アナウンサー】
「長崎では初めての開催となりましたツール・ド・九州2025佐世保クリテリウム。多くの観客の声援を受けながら選手たちが一斉にスタートしていきました!」
10月10日から開催された自転車の国際ロードレース『マイナビツール・ド・九州2025』。
UCI、国際自転車競技連合公認レースのカテゴリーのうち上から3番目に位置するこの大会に、ことしは国内外の合わせて18チーム約100人の選手がエントリーしました。
初日は長崎県佐世保市が舞台。短い距離の周回走、クリテリウムが行われました。
ポイントレースではないものの、選手たちは真剣勝負を繰り広げました。
そして、2日目からは本格的なレースがスタート。
【実況】
「日常(の場所)が戦いの舞台に変わる」
「非日常空間を瞬間的だが楽しんでもらえれば」
『福岡ステージ』の序盤は抜け出した7人がレースを引っ張ります。
その一方、UCIによって最も高い『ワールドチーム』に格付けされている『アンテルマルシェ・ワンティ』や『XDS・アスタナ チーム』はペースアップしないという戦略を見せます。
【実況】
「初めて見る人は『先頭の7人が有利なのでは』と思うが、実はこの7人の逃げをコントロールしているのは2位集団」
残り35キロ地点で先頭集団が後方集団に吸収されると、抜け出したのはキナンレーシングチームのレイン・タラマエとソリューションテック・ヴィーニファンティーニのキリロ・ツァレンコ。
【実況】
「ツァレンコきた、ツァレンコ残り100(メートル)でスパート、キリロ・ツァレンコが前!見事福岡ステージを制します!」
そして、3日目。舞台は熊本・阿蘇地方です。
【後藤 祐太アナウンサー】
「ステージ2熊本阿蘇ステージのスタート地点がある瀬の本レストハウスからお伝えします。早速ですがきょう、素晴らしい阿蘇の景色が選手たちを出迎えました」
【堂前 泉紀記者】
「熊本阿蘇ステージは高低差が大きいことが特徴です。福岡ステージの上位2チームは、どのような戦略で、そしてどのような自転車のセッティングでレースに臨むのでしょうか」
【キナンレーシングチーム 石田 哲也 代表】
「今回のような平坦もあって、下りもあってというコースだと、平坦の時のバイクとはそれほど差はなく、空気抵抗を優先したバイクに乗る」
【ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ 新城 幸也 選手】
「僕らはディフェンスしかない。リーダーチームからアタックすることもあるが、他のチーム次第。レースをキツくすることなく僕たちにとって省エネなレースにしたい」
また、熊本県出身の選手は…。
【スパークルおおいたレーシングチーム 住吉 宏太選手(熊本市立千原台高校出身)】
「すごくモチベーションも高いし、今もトレーニングでよく瀬の本には来るので、いいところを見せられれば…」
コースは南小国町をスタートし、産山村、阿蘇市にかかる周回コースを2周。その後、高森町を抜け、南阿蘇村役場がフィニッシュです。
【実況】
「マイナビ ツール・ド・九州2025熊本阿蘇ステージスタートです!」
雄大な阿蘇の絶景が広がるアップダウンが激しいコース。選手たちが力強いペダリングを見せます。
全速力の走りを間近で体感できる阿蘇市一の宮町のスプリント区間には多くの観客の姿が…。
レースは、阿蘇の山岳コースが誇る大会屈指の急こう配で集団がばらけたものの、後続も意地を見せ、先頭集団の逃げを許さない展開。
残り30キロにして40人ほどのトップ集団が形成されます。
【実況】
「レースは振り出しに戻った、というよりここから展開がちょっと難しくなってくるか」
選手同士のけん制が続き、レースの行方は最終盤の集団スプリントに…。
【実況】
「アンテルマルシェ、いやトタルか!ジョフレ・スープの姿もある!VC福岡も1人いる!アンテルマルシェか、イン側にいるアンテルマルシェ・ワンティの選手がいくか!このままいくか、いや外からジョフレ・スープも来ているが!アンテルマルシェ・ワンティがとった!」
大熱戦の熊本阿蘇ステージは、アンテルマルシェ・ワンティのドリース・デポーテルが制し、UCIワールドチームの実力を見せつけました。
【アンテルマルシェ・ワンティドリース・デポーテル】
「素晴らしい仲間たちが私に素晴らしいアシストをしてくれて、優勝できた」
また、凱旋レースとなった住吉 宏太も、チーム内の最高順位でフィニッシュ。意地を見せました。
【スパークルおおいたレーシングチーム 住吉 宏太 選手(熊本市立千原台高校出身)】
「(コースを)知っていた分、頑張れた部分もきつかった部分もあったが、(坂の)登り口の所で名前を呼んで応援してくれたりしたので、すごく力になった」
阿蘇地方の各地で気温が30度以上の〈真夏日〉となったこの日、レースは暑さとの戦いでもありました。
それでも苦しい時の『一踏み』を支えたのは、沿道から送られたあたたかい声援でした。
【観客】
「速くてすごかった」
「本当にめったにない国際レースなので、貴重な体験を子どもたちも地域の人もできた。なかなか(地域で)集まって何かをすることも減ってきているので、いい機会なのかなと」
大会4日目、最終日は宮崎・大分ステージです。
序盤・中盤と仕掛ける選手はいたものの、誰一人抜け出せないまま残り13キロ地点を迎えます。
ここでスパートをかけたのが、トレンガヌ・サイクリングチームのナバーロ。
残り7キロ地点で後続集団との差は34秒と、独走態勢に入ったかと思われましたが…。
【実況】
「これは捕まるのか、逃げ切れるのか!」
「一気に詰まってきた…残り1キロ!」
この日も最終盤までもつれた展開に。
【実況】
「一気に集団が来た!」
「あー、ナバーロはここで捕まった…」
「さあ来た、デポーテルが現在先頭か、デポーテルが先頭のまま行くのか!しかし、後ろからムルブランも来ている!しかし外にはトタルもいる!ムルブランか、ムルブランだ!」
このステージもUCIワールドチームが意地を見せ、1位でフィニッシュを切ったのはXDS・アスタナ チームのへノック・ムルブランでした。
総合優勝に当たる個人総合時間賞には、福岡ステージを制したキリロ・ツァレンコが
輝きました。
長崎、宮崎が新たに加わり、さらに進化したことしの『マイナビ ツール・ド・九州』。
全日程、晴天に恵まれ、『熱い走りを美しい九州を世界へ』という大会テーマを体現した形に…。
来年の開催が今から待ち遠しいそんな大会となりました。