ミステリー文学界に新風を送り、「ばらのまち福山」を全国にアピールするために創設されたミステリー文学新人賞の今年の受賞作が決まりました。

「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」に選ばれたのは、神戸市のコピーライター朝野にわさんの「腐心そうして人は腐っていく」です。

受賞作は、放置されていたのに腐乱していない高齢男性の遺体が見つかったことから始まり、捜査が進むにつれ男性を取り巻く人間関係が徐々に明らかになる物語です。

受賞にあたり、朝野さんは「望外の喜びに震えています。ありふれた「ふつう」を描くことで社会のひずみや問題、知らず知らずのうちに「心を腐らせる」ものをあぶりだそうと企図しました」と喜びを語っています。

選者で、福山市出身のミステリー作家・島田荘司さんは「腐乱しないで現れたきれいな死体が、作品の芯になっている『人の精神の醜い腐敗』と対を成していて、全体を皮肉な対比構造に仕立てたアイデアは、秀逸と感じた」と評しています。

この賞は、長編の推理小説を対象に新人の才能を発掘しようと福山市が2007年に創設。今回は73作品の応募がありました。

「腐心そうして人は腐っていく」は来年3月に光文社から出版されることになっています。

テレビ新広島
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