熊本市電を運行する熊本市交通局は毎年10月12日を『事故ゼロの日』としています。
これは17年前に市電による死亡事故が起きたことを忘れないための取り組みです。
市交通局は15日、神戸市から講師を招き安全について考えました。
【熊本市交通局】
「黙とう」
2008年10月12日、熊本市花園で近くに住む当時34歳の女性が赤信号を無視して進んできた熊本市電にはねられ、4か月後に死亡しました。
市電運転士は、業務上過失致死罪に問われ、裁判で実刑判決を受けました。
あれから17年です。
【熊本市交通局 井芹和哉 交通事業管理者】
「昨年1年間の出来事は熊本市交通局の信頼を大きく失うものであり、私たちの存在意義を問われかねない重大な事態と受け止めなければならない」
熊本市電は去年1年間に脱線など16件の運行トラブルが発生、今年3月には乗客らがけがを負った市電同士の追突事故も起きています。
15日は、42年間阪急電鉄に勤務、運転士や駅長などを歴任し現在は神戸市交通局で地下鉄運輸スーパーバイザーを務める庄田 勲さんが安全講話を行いました。
【庄田勲さん】
「標準作業手順という立派なものがここにはある。それをきっちり守る。みんなが同じレベルでやる。それができているかどうかを上の人がチェックする。『ちょっとくらいかまへん』はダメ。ハンドル持ってる人はそういう思いで作業しないと事故が起こる」
庄田さんは、集まった熊本市電乗務員ら職員に対し「決められた作業手順をしっかりと守ることが安全への近道」と強調しました。
【熊本市交通局職員】
「決められたことをきっちり責任をもってこなしていけば事故はおのずと減らされることを聞いて、そうだと思った」
【熊本市交通局職員】
「入職したてで教習を受けているところですが、なぜ基本が必要か根拠を自分で理解して実践し日々業務に従事することが大事だと庄田さんの話を聞いて思ったので忘れないでおこうと思った」
今年で開業102年目に入った熊本市電、今も大きく存在する『安全』という課題へ
職員たちは気持ちをあらためていました。
安全は漫然としていては得られるものではない。日々意識して基本を守ることこそが唯一の近道と理解しました。
そして庄田さんは「鉄道の仕事は子どもたちの憧れ。誇りに思ってほしい」とも
語っていました。