秋田県内ではクマによる人身被害が後を絶ちません。10月14日までに県内では1人が亡くなり、31人がけがをしました。10月6日から12日までは7日連続で被害が発生しました。
11日は秋田市飯島で農作業をしていた80歳の男性がクマに襲われました。周辺では男性が襲われた前後にクマが相次いで目撃されていました。
8日は大仙市で、近所を散歩していた80代の女性が突然現れたクマに襲われました。「まさか自分が…」女性が取材に応じ、恐怖の瞬間を語りました。
現場付近の防犯カメラには襲われた女性の声が。女性は「まさか自分がクマに襲われるとは…本当に」と話しました。
女性は8日午前7時ごろ、JR羽後長野駅から南に約120メートルの住宅などが立ち並ぶ地域で、体長約80センチのクマ1頭に襲われました。
付近の防犯カメラには、クマが背後から突然現れて女性に襲いかかった後、正面に回るともう一度女性に飛びかかり、そのまま走り去っていく様子が映っていました。
女性は目の下を4針縫うけがをしました。
襲われた女性は「襲われた際、クマの気配はなかった。頭を狙われた。対応することもできずにいたがクマは去っていった。それ以上襲われることがなくて良かった。もし襲ってきたらこの程度のけがではなかった」と話します。
近所の人は「周辺ではこれまでクマの目撃情報はなかった。ただ、びっくりしている。山とかではクマを発見したとか被害に遭ったとかあるが、まさかこういう場所でクマの被害が発生するというのはびっくり」と話していました。
襲われた女性は散歩をしていましたが、最近は日常生活の中でクマに遭遇するケースが増えています。
2020~2024年までのクマによる人身被害を県が分析したデータによると、この5年間にクマに襲われた人数は108人。
また、被害に遭った時の行動をみると、最も多いのはごみ出しや新聞配達などの地域内活動で23人、次いで農作業が22人、散歩が21人となっています。
このデータからも、クマの生息域である山に行ったから被害に遭ったわけではなく、日常生活の中で被害に遭うケースが目立つことが分かります。
続いて時間帯別の分析です。最も多い時間帯は午後3~6時で23件、次いで午前6~9時までの間が21件、午前9時から正午までが20件となっていますが、時間帯で被害件数に大きな差がないことが分かります。つまり、人身被害はあらゆる時間帯に発生しているということです。
県は基本的対策として、音の出る物を持ち、クマに人の存在を知らせるよう呼びかけていますが、被害に遭った人の約80%が持っていませんでした。
持っていても荷物の中に入れたままだったり、音量が小さかったり、適切に使用していない場合を合わせると約95%。クマに存在をしっかり知らせていれば襲われる可能性が低くなるとも言えます。
今回女性が被害に遭った場所の周辺を取材したところ、現場は駅に近い住宅街で、コンビニエンスストアや会社もあり、クマの生息域とはほど遠い場所です。しかし、人身被害はこうした場所で多く発生しています。
まずは基本の対策を徹底すること。いまや、いつでも・どこでも・誰でもクマに遭遇する恐れがあるということを忘れてはいけません。