クマに襲われた人:
まさか、自分がクマに襲われるとは…本当に…。

10月9日、『サン!シャイン』の取材に応じてくれたのは、秋田・大仙市でクマに襲われた82歳の女性。
それは、10月8日の朝、いつものように散歩をしていた時の出来事でした。
「顔を狙ってきた…」クマに襲われた女性語る
――クマが近づいて来た気配は?
クマに襲われた人:
全然…。「バーッ」と来て「ハ~」という感じ。「ワ~」と言ったら逃げていったから…。

背後から突然現れ女性に襲いかかるクマ。

正面に回ると、もう一度女性に飛びかかり、そのまま走り去りました。

この時、女性は目の下を4針縫うケガをしたといいます。

――クマはどこを狙ってきた?
クマに襲われた人:
やっぱりここ(顔)。帽子をかぶってて、(顔に)来たんだろう。対応とかすることもなかった。ただ、クマが来た。そしたらクマは逃げていったから、それ以上襲われなくてよかったなと。
かかって来られれば、こういうケガでは終わらなかったと思うな。
クマ同士のけんかと同じように人間にも…
各地で相次ぐクマによる人的被害。

7日には、群馬・沼田市の営業中のスーパーで、自動ドアから侵入したクマが店内を徘徊。
買い物客の男性2人が襲われ、けがをしました。
クマが人を襲う際、身体のどこを狙ってくるのでしょうか?

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長:
クマ同士が四つ足踏ん張って鼻を突き合わせてけんかしている、頭を狙って相手の鼻をかんで窒息死させるのが基本なんだけど、それを人間にやろうとするけれども、人間はその前に(顔面に)入った段階でダメージになって倒れてしまう。
クマの攻撃90%が「顔面」「頭部」にも
『サン!シャイン!』が話を聞いたのは、群馬・沼田市でリンゴ農園を経営する宮田一明さん(77)。
かつてクマに襲われ、顔に大けがをしたといいます。

――クマに襲われたときの傷痕ですか?
クマに襲われたことがある宮田一明さん:
そう、ここからこういう状態でなくなっちゃったんです、全部。前歯と唇から、ここ(口は)足の肉を移植した。
宮田さんは今から約20年前、農園での作業中に突然、クマに襲われました。

宮田さん:
(クマは)俺を目掛けて突進してきた。
それで、ガバッと…。
俺がこう(前のめりに)なったところ、後ろから頭をかんで、それで(首を)やられたら終わりかなと思って、逆に反転したんです。俺が。
たぶん、口を開けちゃって、その時に口をガブガブとかまれて…。
顔や頭をかまれ、瀕死の重傷となった宮田さん。
皮膚の移植など5度の手術を経て、今は元気に暮らしているといいます。
宮田さん:
たまたま(肘打ち)こうやったのがクマの鼻に当たったんで。あれ(肘打ち)がなかったら、あそこで終わってた…。
クマによる外傷患者を治療してきた秋田大学医学部付属病院の土田医師は…。

秋田大学医学部付属病院 救急科 土田英臣医師:
秋田大学に搬送された方の9割が顔面を受傷された結果になっています。
顔をやられると流れた血が口の中に入って窒息のリスクになったり、出血性のショックになったりというのは顔面外傷の特徴です。
襲われた20人のうち、9割が顔を狙われたという結果が…。
では、どうやって身を守ればいいのでしょうか?
住宅街でクマに遭遇した場合の対処法
日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長によると…

・慌てずゆっくり真っすぐ後ずさる
・木や電柱などを障害物にし、少しずつ距離をとる
・逃げ込める建物や車があればそこに向かってゆっくり避難
【NG行動】大声・手を広げる・背中を向ける

それでもクマが向かってきた場合はどうすればいいのか、最終手段を秋田大学医学部附属病院の土田英臣医師に聞きました。
ポイントは以下のような形で「顔面」と「頭部」を守ることです。

①両膝をついて座る
②首を守るようにして首の後ろで両手を組む
③おなかと頭を抱え込むように前にかがんでうつぶせになる

この防御姿勢で顔面・首の動脈・おなかなど、体の弱い部分への攻撃を防ぎます。
2023年度、秋田県内でクマに襲われた70人のうち、防御姿勢をとった7人全員が重傷を免れたということです。
(「サン!シャイン」10月10日放送より)