特集は、宮崎県小林市の野尻湖で爆発的に増殖していた外来植物についてお伝えします。

まずはその植物とこれまでの経緯について説明します。
こちらは今年1月に撮影した野尻湖です。
湖面が見えないほど覆いつくしている水草の正体が特定外来生物に指定されているボタンウキクサです。
南アフリカ原産でもともとは観賞用に輸入された水草で特徴は強い繁殖力。
ピーク時には東京ドーム17個分にあたる約80ヘクタールに渡って湖面を覆っていました。

こういった状況を受けて宮崎県は約2億1600万円の予算を組み除去作業を開始。
県外から専用の船とスタッフを手配し作業にあたりました。

そして今年5月。
ドローンで上空を飛んでみるとボタンウキクサはほぼ回収され以前のように湖面が見えるようになっていました。
6月には除去作業は終了したということですが最近、再びボタンウキクサが増えているということで現地を取材しました。

(佐々木紅音アナウンサー)
「Qこの辺りも一旦6月くらいには無くなった?」

(都城土木事務所 福島正寛課長)
「ほぼ無くなって、小さな株が点在する程度だった」

小林市野尻湖で、再び繁殖しているボタンウキクサ。
今年6月には、撤去作業が終了しましたが、先月から再び増殖しています。

(都城土木事務所 福島正寛課長)
「1月から6月上旬まで回収作業をした。完全に除去することは難しいので低密度管理をしていこうとなった。(夏から)戸崎川が少しずつ水温の関係もあって(ボタンウキクサが)増えてきていた」

(佐々木紅音アナウンサー)
「ボタンウキクサが見えてきました。網の外にはそんなに無いのですが、中に沢山浮いています」

ボタンウキクサは、よく見ると茎や葉の部分に棘が生えていて、鳥や動物も食べないため、人の手で除去する必要があります。

(都城土木事務所 福島正寛課長)
「(船のかごを)下げた状態で船を前進させて浮いているウキクサを回収しています」

(佐々木紅音アナウンサー)
「船の中央部分に来たウキクサを人の手で道具を使って船の中に集めていくのでとても手間と時間のかかる作業です」

6月上旬に開かれた有識者を交えた対策検討会をもとに、フェンスを使用した繁殖エリアの制限や、週2回程度の巡視などによって爆発的な増殖は抑えられていました。

しかし…

(Qなぜまた増えてしまった?)

(都城土木事務所 福島正寛課長)
「水温の関係もあって、7〜9月と増えてきている」

水温が約20℃から30℃で活発に繁殖するボタンウキクサ。
この夏の猛暑により増殖し、県職員の手だけでは、回収が追いつかなくなりました。

(都城土木事務所 福島正寛課長)
「(現段階では)ダムの管理に支障はなかったが、このまま増えると昨年度と同じようになるので早めに回収していこうということで業者を発注」

県内のダムの維持管理費の中から約2000万円をねん出し、9月24日から県外の業者を呼んで除去作業を行っています。

(丸昭建設株式会社土木部 亀元正己さん)
「見て日に日に増えているような感じはします」
「(回収量は)一日平均20トンくらいです」

作業を急ぐ大きな理由は、強い繁殖力だといいます。

(株式会社テクアノーツ 金岩紀彦統括部長)
「ひとつの株から4つくらい(葉が)出ている。これがちぎれてまた増えていく。もう追いかけっこです」

素早い対策の甲斐あって、再発生当初2ヘクタールほど広がっていたボタンウキクサは、この日はほぼフェンスの中に収まっていましたが、増殖は、気温が下がる11月いっぱいまで続く見込みだということです。

(都城土木事務所 福島正寛課長)
「引き続いてフェンスを張って我々の巡視活動も強化して、ウキクサを持ち出さないなどチラシを作って啓発活動をしたい」

また、福島さんは、ボタンウキクサの回収作業を進める中で、ゴミ問題にも直面したといいます。
この日も、放置された船やペットボトルなど、たくさんのゴミがボタンウキクサに混ざって捨てられていました。
ごみの放置によって、その分別などに時間が取られてしまい、ボタンウキクサの回収作業に支障が出てしまうということです。

ボタンウキクサの回収が滞ることで、水質の悪化や生態系への影響も懸念されます。

テレビ宮崎
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