愛媛の最低賃金が今年12月から大幅に引き上げられ初めて1000円台になり、県内の企業の6割が「マイナスの影響がある」と予想していることが分かりました。松山市内のシンクタンクが調査結果を8日に発表しました。
この調査は、愛媛の最低賃金が今年12月から過去最大の77円引き上げで1033円になり、初めて1000円を超えることから、いよぎん地域経済研究センターが県内の企業に9月1日から12日にアンケートで実施。266社の回答を分析しました。
調査の結果によりますと県内の企業全体の74.4%が時給の引き上げを予定し、59.0%の企業が「マイナスの影響がある」としています。
このうち改定後の「最低賃金を下回るための引き上げ」は44.3%。59円引き上げられた前の年度より4.8ポイント増加しました。この一方で「最低賃金を上回っているが、さらに賃金を引き上げ」は30.1%と前の年度を5.6ポイント下回りました。
「マイナスの影響がある」と回答した企業の具体的な影響では、86.0%が「人件費の増加に伴う採算の悪化」と回答。非正規の雇用が半数を超える企業の65.8%が、税金や社会保険料の負担が増える「年収の壁」に最低賃金の上昇でこれまで速く達するため、働き控えが発生すると想定しています。
最低賃金の引き上げでは、国が2020年代に全国平均1500円を目標に掲げていて、今回と同じ程度の引き上げのペースが続くことに対し、全体の67.3%が「早過ぎる」と捉えているとしています。
人件費の確保の対策では「価格の引き上げ・転嫁」が50.4%を占め、価格交渉は66.8%が着手しているものの「ある程度進んでいる」と回答したのは46.1%にとどまったということです。
いよぎん地域経済研究センターは、今回の最低賃金の引き上げは企業の想定を超えたことがうかがえ、人件費の増加に伴う価格転嫁の取り組みの進展は不十分と分析。しかし企業が成長を目指す好機と捉え、収益力UPの取り組みを一層強化するとともに、国などによる支援や制度の整備に期待を示しています。
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