特集は通行無料の自動車専用道路『熊本西環状道路』についてです。
今回お伝えするのはこのうちの花園から池上町まで約4.6キロ、『池上工区』と呼ばれる区間です。これにより延長約12キロのうちの8.7キロが開通することになります。全線開通はまだ先ですが、熊本市は、今回の池上工区の開通によってある大きな効果が出るとアピールしています。

10月19日の開通を前にこの新しい道路について地上から、上空から、取材しました。

【尾谷いずみリポート】
「真新しい道路に真っ白い線が引かれ、もう既に車が通れるような状態になっています。熊本西環状道路・池上工区もうすぐ開通します」

ということで新たに開通する池上工区についてお伝えしますがその前に、熊本の道路を語る上で避けて通れないのがあの問題・・。

【10月6日・車内リポ尾谷いずみ】
「現在朝9時20分、国道3号線・熊本市の水道町交差点付近です。車が渋滞してほとんど前に進むことができません」

熊本市は、3大都市圏を除く政令指定都市の中で主要渋滞箇所数が最多、つまりワーストとなっていて渋滞が常態化しています。

【街の人】
「国道3号線がものすごく混む。熊本は評判が悪い」
「渋滞すると分かっているので前もって調べたり時間に余裕を持つしかない」
「『いたちごっこ』というかバスレーン設けても、バスの利用者が増える保証はないしね」

熊本市は、市街地の外側に『環状道路』を整備して中心部の交通量を減らし、渋滞を緩和しようとしています。

『熊本西環状道路』は、『熊本北バイパス』『熊本東バイパス』そして現在整備中の『植木バイパス』とともに熊本都市圏を囲むネットワークの一部として、熊本市北区下硯川町から南区砂原町までの西側をつなごうと整備が進められているものです。

このうち今月19日に開通するのが『池上工区』・花園インターチェンジから池上熊本駅インターチェンジ間の4.6キロです。

熊本市は今回の『池上工区』開通である大きな効果があるとアピールしています。

【熊本市道路計画課 野口 祥太さん】
「従来国道3号線を使って熊本駅へ向かっていた車がこちらの熊本西環状道路をご利用いただくことで、通常の移動時間が約30分短縮される効果が見込まれています」

熊本市は『池上工区』の開通で北区の下硯川付近から西区のJR熊本駅までの所要時間が30分減り、同時に市中心部・国道3号線の水道町交差点付近で1日当たり車4600台が減少すると試算しています。

大きな効果が見込まれている『池上工区』、どんな工夫が施された道路なのでしょうか。

案内してくれるのは熊本西環状道路を担当して9年目、熊本市道路整備課の木嶋 政智さんです。

【熊本市道路整備課 木嶋 政智さん】
「どんどん利用していただきこの快適さ、便利さを実感していただければと思います」

【花園IC】
暫定2車線で整備されている熊本西環状道路。

『池上工区』の始まりである花園インターチェンジに入るとすぐにトンネルが見えてきます。

【花園トンネル】
『花園トンネル』です。

トンネルの入口で道路の色が変化しているのが分かりますか?

【尾谷 いずみアナウンサー】
「トンネルの中は道路の色がちょっと違いますよね?」

【熊本市・木嶋政智さん】
「先ほどの道路などはアスファルト舗装だったがこちらはトンネル内ということで明るい方がいいのでLED照明を反射しやすい白っぽい仕上がりの『コンクリート』を使用しております」

【尾谷 いずみアナウンサー】
「そしてコンクリートの舗装面を見ますとサーっと線が入っているような模様が見えますが、これは意味がありますか?」
【熊本市 木嶋 政智さん】
「これは滑り止めの役割を果たしております。ツルツルにコンクリート表面を仕上げるとどうしても雨とかスリップしやすい状況になりますので、滑り止めのため『特殊な仕上げ』の工法を行っております」

【尾谷 いずみアナウンサー】
「『特殊な仕上げ』はどうやってこの線をつけるんですか?」
【熊本市 木嶋 政智さん】
「人の手で『箒』で、最終的な仕上げを」
【尾谷 いずみアナウンサー】
「意外とそこは人力」
【熊本市 木嶋 政智さん】
「そうですね」

熊本市で一番新しい道路も安全を守るのは人の手、人の力です。

【花園トンネルは長さ1563メートル
(熊本西環状道路内トンネルで最長)】

長い花園トンネルをくぐり、続く谷尾崎トンネルを抜けると次に通過するのが『谷尾崎高架橋』。

この付近を走行する際は助手席からならば、左側奥に熊本城を見ることもできます。

【尾谷 いずみアナウンサー】
「木嶋さんすごいですね、今、下を覗き込みましたね」
【熊本市 木嶋 政智さん】
「48メートルくらいの所です」
【尾谷 いずみアナウンサー】
「うわっ。ドキドキします」

5本の橋脚からなる谷尾崎高架橋は高さ48.5メートル。

建設には『張出し架設工法』が用いられました。

簡単に言うと『やじろべえ』がバランスをとりながら手を広げるように、橋脚から両サイドに橋を伸ばしていく進め方です。

【熊本市 木嶋 政智さん】
「何段階かサイクルを繰り返しこのような感じになっていき最終的に合流するところへ接続しようやく1本の橋になる」

谷尾崎高架橋は、工区の中で最も時間をかけ工事が進められました。

【池上熊本駅 IC】

【尾谷 いずみアナウンサー】
「木嶋さん『終点』の看板が見えてきました。『速度を落とせ』ということはここが工区の終わりですね」

【熊本市・木嶋政智さん】
「池上熊本駅インターチェンジ付近となります。ここから先が一般道と本線部を結ぶ『池上インター線』になります」

【池上インター線】
池上工区の終わり、熊本西環状道路・池上熊本駅インターチェンジから分岐して一般道と結ぶのが、新たに整備された『池上インター線』です。

【尾谷 いずみアナウンサー】
「私たちの目の前に見えるのが万日山トンネルですね。このトンネルを抜けるともうJR熊本駅は近い」

【熊本市 木嶋 政智さん】
「(トンネルを)抜けると信号が2つあります。その信号を右折してもらうと新幹線口に直結しますのでかなり早いです」

熊本市北区の下硯川からJR熊本駅までの所要時間が30分短縮される所以はこのインター線にもあるようです。

総工費480億円、着工から12年の時を経て新たな4.6キロがもうすぐ開通します。

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。