8日午後、9月の国内企業の倒産件数が発表され、4カ月連続で前年を上回り、909件に上ることが分かりました。

帝国データバンクによりますと、2025年の1月から9月までの倒産件数は7619件で、2024年のペースを上回っています。

企業の倒産が増える中、正念場を迎えている業界が、クリーニング店です。

小林ランドリー工場・小林史明代表:
父から継がせてもらって約23年目なんですけど、どんどん厳しい状況が、上がるというより常に低空飛行しながら右肩下がりを耐え忍んでいる。周りを見ても(52歳の)私が一番若手という、業界的にすごく問題があるのかなと思う。

「イット!」が取材したのは、東京・品川区にある創業90年のクリーニング店です。
自宅の洗濯機でとれない染み汚れやスーツやコート、ダウンジャケットといった衣類への対応で長年、街の人から頼りにされてきました。

しかし、クリーニング業界はカジュアル化・資材高騰・節約志向の三重苦に直面。
コロナ禍を機に導入が進んだテレワークの増加やカジュアルなビジネスウエアの普及、さらに、単価が低く手軽なコインランドリーの普及などが重なったことで需要が減少。

その結果、クリーニング店の倒産が増えているのです。

実際にクリーニング店の倒産などの件数を見ても、2024年の同じ時期よりも増えていて、通年で過去最多となる可能性もあります。

クリーニング店の代表は、物価高による資材の高騰が続いているといいます。

小林ランドリー工場・小林史明代表:
我々の業界は、石油製品に非常に囲まれています。洗う部分では代表的なドライクリーニングの溶剤。その値段が本当1.5~2倍に近い。10年前は3000円台後半で買ってたものが、現在は6000円超え。

他にも、衣類をカバーする袋やハンガーなどの資材費、電気・ガス代なども高騰しているため、値上げを余儀なくされたといいます。

しかし…。

小林ランドリー工場・小林史明代表:
昨今の物価高、所得が上がっていない。それに対してクリーニング代も上がっている。そうすると、何をセーブして自分たちが生きるためとなると、(残るのは)多分「食」とかだと思う。(節約するのは)「衣」の部分ですよね。「衣」の部分の維持する部分が真っ先に淘汰(とうた)されるのかな。

さらに、クリーニング店の倒産が増えているのは意外な理由もあるといいます。

小林ランドリー工場・小林史明代表:
季節感が全くなくなっちゃってる。四季が感じられない。我々の商売としては衣替えという、年間でもイベントが2回あるんですけど、春にしても秋にしても知らない間に終わってしまう。お客さまも品物を出すタイミングを出しそびれている。

これまで、季節の変わり目にクリーニング需要がありましたが、季節の二極化でクリーニングに出さない客が急増したといいます。

生活習慣の変化や物価高、異常気象など、いくつもの逆境に耐えながら生き残りを目指しています。

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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