「東京ドーム102個分」平成以降県内最大規模の山火事

今年3月23日、今治市長沢で発生した山林火災は隣接する西条市にも燃え広がり、県内で平成以降最大規模となる約481.6ヘクタールが焼けた。

焼失面積は東京ドーム約102個分に及び、火災は鎮圧までに9日もかかった。

青木稜悟記者:
「およそ半年前、今治市の山火事のあった現場に来ています。いまもなお山肌は黒く、灰が大量に残されています。こうしたなか二次被害を防ごうと対策が進められています」

二次被害への備えはどうなっているのか
二次被害への備えはどうなっているのか
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県が進めているのが砂防ダムの整備

発生から半年が経ち、関係機関による検討会は現在、丸焼けとなった山の復旧や、弱くなった山肌で起きる土砂災害など2次被害への備えについて協議している。

このうち県が進めているのが、砂防ダムの整備だ。

今治土木事務所河川港湾課・大野浩和課長:
「こちらが今回、砂防堰堤(砂防ダム)を計画している場所になります」

県は大雨などをきっかけに山肌が崩れるなど土石流が発生した場合、ふもとに住宅地があり、被害が大きいと想定される「朝倉北」と「長沢」の2つの渓流にあわせて、4基の砂防ダムを設置する計画だ。

4基の茶房ダムを設置する計画
4基の茶房ダムを設置する計画

山肌に積もった灰の量や焼失範囲を詳しく調査

今治土木事務所河川港湾課・大野浩和課長:
「この谷の部分に今回、コンクリートダム、壁のようなものができて、より土石流が起きた時に止めるというものができあがります」

県は今年4月、山肌に積もった灰の量や焼失範囲を詳しく調査した。

今治土木事務所河川港湾課・大野浩和課長:
「このような形で焼失した痕がわかるかと思います。今回焼失をうけたことで、表面に灰がかなり積もっていると思います」

灰は水を通しにくいため、大雨が降ると雨水は斜面を一気に流れ、土石流を引き起こす危険がある。

高さ5メートルから7メートル、幅33メートルから52メートルの砂防ダムを計画していて、想定される規模を上回る約1000立方メートルの土石流が発生しても、十分受け止められるということだ。

土石流を引き起こす危険がある
土石流を引き起こす危険がある

「どんな風に砂防ダムが効果を発揮するのか期待」

建設予定地近くの緑ヶ丘団地に住む住民はこう語る。

ふもとに住む別宮省三さん:
「火災のあとに土砂災害が起こりやすいというふうに聞いていましたので、(砂防ダムを)作っていただけるのは、すごく安心はします。線状降水帯とかできて、梅雨とかそういうときにどんな風に砂防ダムが効果を発揮するのかを期待していますね」

工事は今年度中に始まる予定で、来年度中の完成を目指している。

今治土木事務所河川港湾課・大野浩和課長:
「いま緊急性をもって事業を進めておりますが、まだ施設ができるには時間がかかりますので、住民の方にも大雨などが降った場合にはかなり危険な場合があるということで、注意をしてこれから生活していただいたらと思います」

砂防ダムは来年度中の完成を目指している
砂防ダムは来年度中の完成を目指している

緑の復元へ 1年ほどで芽が出る工法を採用

山の復旧も進められている。

県は焼けた山に緑を戻そうと、ヘリコプターで空から樹木の種などをまく「航空実播工」を実施する予定だ。

自然に任せて山に緑が戻ってくるまでには10年以上かかりますが、この工法を使うと1年ほどで芽が出る効果が期待されている。

県森林林業課・吉原千裕主幹:
「地元の方々も緑が復元されることによる安心感もあると思いますので、早急に緑化することが第一かなと考えております」

検討会はこれらの対策を盛り込んだ復旧・復興計画を10月をめどにとりまとめる方針だ。

早急に緑化することが第一
早急に緑化することが第一
テレビ愛媛
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