「よりプレーを速く」と指揮官 ポゼッションで勝利をたぐりよせる

10月4日・5日、刈谷市体育館で「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズン」のB1リーグ第1節が行われ、シーホース三河は群馬クレインサンダーズをホームに迎えた。昨シーズンはともにチャンピオンシップへ駒を進めた強豪同士の一戦で、開幕カードから好ゲームが期待された。三河はGAME1を58-75で落とすも、GAME2は98-71で快勝した。

昨シーズン同様、今シーズンの三河はメンバーがほぼ変わらない継続路線。日本人選手は同じ顔ぶれで、ザック・オーガスト(現滋賀レイクス)が抜けて、トーマス・ケネディとアーロン・ホワイトが加入。これまで積み上げてきたバスケを続ける判断をした。ところが、GAME1では昨シーズンの良さが見られず、序盤からスコアに苦しむ。3Qまで競った展開で粘るも、4Qに入ると突き放されて58-75で完敗。群馬はディフェンスに優れ、オフェンスでは時間をかけて攻めるのが特徴のチームだ。今シーズンは大幅な補強も行い、東地区で注目される強豪。そうした相手だったことを鑑みても、やはり「58点」は少なすぎた。これは、昨シーズンの最小得点だったゲーム(昨シーズンの最小は59得点)を下回っている。GAME2はどのように改善していくか注目された。

GAME2では、三河はスタートからフィジカルにプレーし、群馬のターンオーバーを誘発。特に目立ったのが、昨シーズンの強みであったセカンドユニットの2人、長野誠史と角野亮伍で、長野が速い展開に持ち込み、GAME1に比べるとゲーム全体のスピードが上がったように映った。数字を見ても三河はGAME1のアテンプト数「61」に対し、GAME2は「71」に増加。群馬のアテンプト数はGAME1が「63」でGAME2が「60」。GAME2では、三河は群馬のミスを誘い、リバウンドで奮闘し、ポゼッションで優位に進めた。多くの攻撃の機会を生み出すことが、98得点のハイスコアにつながった。ジェイク・レイマンが27得点、西田優大が16得点、ダバンテ・ガードナーが15得点、角野亮伍が14得点と、得点を取るべき選手が実力を発揮できたのも勝利の要因だろう。

「ザックが抜けたのは実質5人変わったのと一緒」(角野亮伍)

試合後、リッチマンHCはGAME2を「プレーオフを含めて多くの試合を経験してきましたが、今日はヘッドコーチとして誇らしく感じるゲームでした」と振り返る。
「素晴らしいエネルギーで戦ってくれましたし、選手たちも勝利への執念を見せてくれました。我々は既存のメンバーがたくさんいる中で、2人のピースが加わったチームではありますけれども、その2人が加わっただけでも違うチームになっていくと感じています。これから試合や練習を通して、彼らの感覚などが上手くいくような部分を模索していきながら、チームをしっかりと作り上げていきたいと思います」

試合のテンポも意識していたようで、「プレーを速くしていこう、ボールを速く前に運ぼうと伝えていました。GAME1はそれがあまり見られず、リバウンドも取れませんでした。私たちは常にボールを前に速く運び、リムにプレッシャーをかけたいと考えています」と話す。リムにプレッシャーをかければディフェンスは収縮し、3Pシュートを狙える機会が増える。GAME2はその狙いがハマった。

14得点を上げて勝利に貢献した角野も「ポゼッションは意識している」と振り返る。
「総合的なサイズは変わっていないかもしれませんが、ザックが抜けて(特にリバウンドの部分で)総力戦になることは開幕前からわかっていました。GAME1はそれができませんでしたが、今日は全員でリバウンドに入って、全員で走るバスケが40分間できた。オフェンス能力がある選手が集まっているので、オフェンス回数が増えれば自然と得点も伸びます。守り勝つといってもバスケはオフェンス優位のスポーツなので、今日のようにたくさん得点を取って勝つゲームも必要です。そのためにポゼッションで勝つのは必須条件なのかなと。試合後に、こうやって走ってボールをシェアするバスケをしないとダメだよね、って話になって。GAME1のようにボールが停滞する時間が多いとスコアが伸びません。あれはあれで僕らの実力だと思うので、良くない日の実力をどれだけ上げられるかが今後の課題です」

今シーズンのチームについては、選手の視点からすると「まったく違う」と話す。表面上はほとんどメンバーが変わっていないように見えるが、役割の変化という部分で「ザックが抜けた影響は大きい」と角野は認める。
「20分とか30分とかプレーしていた選手で、リバウンドに強さがあり、ピックアンドロールで絡む仲間も多かった。ヨシ(久保田)や優大とか特にそうですけど、2対2でザックとプレーしていた選手は違うプレーを選択しなければいけない。僕もザックからのハンドオフで3Pシュートを打つなど、ザックを基準として得点を取っていた選手が多かったんです。だから1人が変わっただけですけど、実質5人が変わったのと一緒」

ザックが抜けてプレーの選択に迷いが生まれ、その影響は『AICHI CENTRAL CUP 2025』にもあったという。継続路線に見えて、実はチームビルディングの真っ只中。しかし、GAME2では今シーズンの良さが垣間見られた。「今シーズンは違うカラーで勝負して、昨シーズンより良い結果を出したい」と角野。群馬戦で得た収穫と反省を踏まえ、三河はさらなる成長を目指していく。

東海テレビ
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