東京から車で約2時間半。
「イット!」取材班が向かったのは、物々しい雰囲気の施設。
高さ8メートル、全長450メートルもの鉄製の壁に取り囲まれた群馬県の安中総合射撃場です。
国体選手強化を目的に1972年に建てられたクレー射撃場で、その約250メートル先には住宅街が広がっています。
そんな歴史ある射撃場が今…。
群馬県環境森林部自然環境課・臼田栄慈課長:
平成30年(2018年)に休場しています。(休場)もう7年というかたちになります。
なぜ、休業のままになっているのでしょうか。
群馬県環境森林部自然環境課・臼田栄慈課長:
前からお皿が出てきて撃つわけですけど、あちらの方にライフル射撃場ができていますので、あちらの方に弾が届いてしまうのが問題になっています。
空中に飛んだ“クレー”と呼ばれるお皿を狙って散弾銃で撃つクレー射撃。
弾丸が発射された際に飛び散った小さな弾が、併設されているライフル射撃場の建物に当たってしまう問題が判明。
そのため、ライフル射撃場のみの営業で、敷地の大部分を占めるクレー射撃場は休業となっているのです。
群馬県環境森林部自然環境課・臼田栄慈課長:
結果とすると、検討が甘かったのかなということになりますね。
ライフル射撃場を作った背景にあったのは、野生鳥獣による農作物被害です。
シカやイノシシ、クマなどの野生鳥獣による農作物への被害は年間約3億4000万円。
一方で、野生鳥獣を仕留める銃の撃ち手はピーク時の約9000人から、今では約5分の1に落ち込んでいます。
こうした状況に危機感を抱いた県の猟友会は、2012年にライフル射撃場の整備を県へ要望。
群馬県環境森林部自然環境課・臼田栄慈課長:
撃ち手や担い手が減っている中で、そういった方たちがしっかり訓練して、射撃の技術を上げてもらう。
2019年、クレー射撃場に併設する形でライフル射撃場が完成しました。
しかし、クレー射撃の弾が施設に当たってしまう欠陥が判明。
2024年4月からライフル射撃場のみをオープンし、安全上の問題が解消されるまでクレー射撃場は休業になったのです。
当初5億円の予算を見込んでいたものの…。
群馬県環境森林部自然環境課・臼田栄慈課長:
13.2億ほど今、お金を使っているということになります。
売り上げは年間250万円ほど。
群馬県民からは、「確かに鳥獣対策には必要だと思いますけど、無駄金」「もうちょっと計画的にやっていただけると。血税ですからね、私たちの」と不満の声が聞こえました。
群馬県は今後、ライフル射撃場とクレー射撃場の間に壁を設置するなど、対策を検討しているといいます。