外国人労働者についてお伝えします。

宮崎労働局によりますと県内の外国人労働者の数は8515人。
前の年よりも1419人増え過去最多を更新しました。
この外国人労働者について、2年後から制度が大きく変わるんですが、皆さん、ご存知ですか?

現在の「技能実習制度」が廃止されて、「育成就労制度」が新たに設けられます。
技能実習制度では、外国人労働者は最長で5年間日本に滞在でき、農業や製造業などの分野で働くことができます。

技能実習の目的は、日本の技術を外国人に伝える国際貢献ですので、実習が終わった後は、原則母国に帰らなくてはいけませんでした。
一方「育成就労制度」では、原則3年間働けば、長期就労が可能な「特定技能」の資格を取得できそのまま日本で働き続けることができます。

制度の目的が国際貢献から人手の確保に明確に変わったんです。
ただ一方、宮崎をはじめとする地方ではある課題も懸念されています。

県内で外国人労働者を受け入れている農業法人を取材しました。

えびの市でホウレンソウやサトイモなどを栽培する立久井農園です。

(オカファーエニス豪アナウンサー)
「こちらでは里芋の掘り起こし作業を行っていますが、海外の方が多いですね」

この農園ではインドネシア人16人が働いていて、そのうち12人が技能実習生です。

(外国人労働者は)
「いい会社。ルールも守っていて皆さんが優しくしてくれるから、ここで長く仕事をしても大丈夫」
「農業のこと、色々なことを知りたいから農業で仕事をしている」
「トラクターとか色々な機械がある。インドネシアの農業にはあまりない。だから日本に行きたいと思った」

(立久井農園 立久井義文社長)
Q・海外からの皆さん、戦力になっている?
「とんでもない戦力」
「国を出て日本で働こうという気概を持って来ているので全く遜色のない人たち」

県内ではこちらの農園のように外国人労働者を受け入れている事業所が、1506カ所あります。
では、現在の技能実習制度を廃止し、2年後育成就労制度に移行する狙いはどんなところにあるのか。
技能実習生のサポートなどを行う道休誠一郎さんに聞きました。

(道休誠一郎さん)
「技能実習制度そのものが法的に確立したのは1993年。日本が持っている技術やノウハウを発展途上国の人たちを訓練することによって国際貢献をしていこうということを第一義に置いて作られた制度」

しかし、本来の目的である「国際貢献」からそれて、一時的な労働者として雇用、不適切に対応する事業者が次第に増えていったということです。

(道休誠一郎さん)
「いろんな業種で賃金の未払、過酷な体罰を受けた、言葉で差別をされた。そういう問題も起こっている」

育成就労制度はこうした問題を改善しようと導入。
特に、これまで技能実習ではできなかった他の会社への転籍が可能となります。
ただ、この転職が宮崎をはじめとする地方では深刻な問題になると指摘します。

(道休誠一郎さん)
「恐らく、転職が自由になるということであれば、基本的には自給の高い都会へ行こうよという流れが起こってくる」

(技能実習生は)
「大体最初に(日本へ)来た時、宮崎がどんなところかはわからない。イメージは東京だけ」

では、転職による労働力の流失を防ぐためにどうしたらいいのでしょうか。

(立久井農園 立久井義文社長)
「(外国人労働者を)自分の子供だと思っている」
「(日本人と)同等に付き合っていくことが一番大事」

(道休誠一郎さん)
「受け入れる農家の人たちだけでなく、地域社会が外国人に対して多様性を認めるような文化をどんどん取り入れないといけない」
「世界の中で選ばれる日本にしなければいけないと私たちは思う」

慢性的な人手不足の中、これからますます増えることが予想される外国人労働者。
制度が変わろうとしている今事業者だけでなく、地域全体で受け入れ向き合っていくことが大切になってきます。

テレビ宮崎
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