富山県射水市で伝統ある新湊曳山祭が開催された。能登半島地震の発生から1日で1年9カ月が経ち、液状化の被害で町を離れた住民たちも心待ちにしていた祭りが今年も開かれた。

この記事の画像(8枚)

「イヤサ~!」威勢よく町を練り歩く13基の曳山

放生津八幡宮の秋の例大祭である新湊曳山祭では、小雨が降る中でも、13基の曳山が威勢のいい掛け声とともに町を練り歩いた。

特に液状化被害が甚大だった古新町では、自宅解体を余儀なくされ、町を離れた住民も多い。曳山の誘導責任者を務める濱野純さん(28)もその一人だ。地震前から仕事の関係で家を離れていたが、実家を失い、現在は家族とともに高岡市で生活している。

「祭りになって帰ってくる家がないのは寂しい。みんなで集まってた家がなくなったのは」と語る濱野さん。それでも祭りの雰囲気について聞かれると「最高です。たまりません。これが祭りです」と笑顔を見せた。

祭りが癒やす震災の傷

液状化被害で50年住み続けた家から離れ、今年春に近隣地域へ引っ越したという曽根正人さん(77)も祭りを楽しんでいる。

「気持ちが晴れる。震災をうけてから沈んでいた気持ちがこの祭りになると気分が晴れて、これからも頑張ろうという気持ちになる」と語る曽根さん。「他の町へ行っても昔の曳山はずっと携わってたから離れられない」と祭りへの思いを語った。

子どもたちも「イヤサ~イヤサ~」と元気な掛け声を上げ、「楽しい」「見るのが楽しい」と祭りを満喫している様子だった。

高岡市伏木から訪れた見物客は「伏木も大変な被害にあって大変な目に合ってるが、伏木も祭りをやったし、一つの復興になっていい」と話した。

夜には花山が提灯山に姿を変え、それぞれの思いを乗せて町を練り歩く。被災した地域の伝統行事が続くことで、住民たちの心の復興を支える大切な役割を果たしている。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。