アサヒグループホールディングスで9月29日、サイバー攻撃を受けシステム障害が発生。酒類・飲料・食品の国内の受注と出荷が全面停止し、生産も止まった。個人情報流出は確認されていないが、ランサムウェア被害の可能性がある。この影響で、10月1日に予定されていた新商品発表会は中止となった。
ランサムウェアの被害か…システム障害発生
ビール大手のアサヒグループホールディングスが、サイバー攻撃によりシステム障害が発生していると発表した。

アサヒグループホールディングスは、年間100億リットルを超える酒類や飲料を販売し、売上収益は2.9兆円を超えている。
9月29日、サイバー攻撃を受け、システム障害が発生した。
この影響で酒類や飲料、食品の国内の受注や出荷がすべてストップした。また、出荷ができないため、生産が止まってしまった。

個人情報や企業データなどの外部への流出はないとしているが、長引けばサプライチェーンには大きな影響が出る可能性がある。
捜査当局には9月29日昼頃、アサヒビール側からこんな相談があったという。
アサヒビール側:
ファイルが暗号化されたランサムウェアの被害に遭ったようだ。

一般的にランサムウェアとは、感染するとパソコンなどに保存されているデータを暗号化して使用できない状態にし、そのデータを復元するために金銭などの対価を要求する不正プログラムのことだ。
捜査関係者によると、今回のアサヒビールの件は、身代金が要求されているかは分かっていないという。
アサヒグループホールディングスは、10月1日に予定されていたビールの発表会の中止を決定した。
「ジャガー・ランドローバー」1週間ごとに約100億円の損失
海外でも、大手自動車メーカーがサイバー攻撃の被害に遭っていた。

9月2日、イギリスの自動車メーカー「ジャガー・ランドローバー」はサイバー攻撃を受けたと公表した。10月1日まで、車の生産の一時停止を余儀なくされた。
ジャガー・ランドローバーは、部品メーカーなどを含めると15万人以上の従業員がいて、現地メディアは、生産停止によって1週間ごとに少なくとも5000万ポンド(約100億円)の損失が出ていると報じている。

日本とイギリスで発生した大手企業を標的にしたサイバー攻撃について、フジテレビ智田解説副委員長はこう話している。
智田裕一解説副委員長:
個人情報を抜き取るなどのタイプに加えて、最近は金銭目的などで企業活動を妨害し、サプライチェーンなどへのダメージを通じ、プレッシャーを与えようとするケースも増えてきました。
最新の脅威に対応できるよう、ネットワークセキュリティのレベルを高めておく対応が、常に求められるようになってきたといえます。
(「イット!」9月30日放送より)