2025年は戦後80年。

戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えようと広島で原爆の被害を受けたピアノによるコンサートが鹿児島県伊佐市の中学校で開かれ、生徒たちがその音色に耳をすませました。

音楽教師が奏でる切ない音色がホールに響きます。

30日、伊佐市の大口明光学園中学校では音楽の時間を使って、被爆ピアノによるコンサートが行われました。

被爆ピアノとは広島に投下された原爆の爆心地から約3キロ以内で爆風や熱線、放射能などの被害を受けたピアノのことです。

広島でピアノ調律師として活動する被爆2世の矢川光則さんは、そんな被爆ピアノを修復し、よみがえらせるとともに、全国を巡って戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える活動を2001年から続けています。

矢川ピアノ工房・ひろしま被爆ピアノ・管理所有者 矢川光則さん
「このピアノ、ご覧の通りあちこちにいっぱい傷がありますが、おそらく80年前の原爆で色々な物が飛んできて当たった傷だろうと思います。被爆ピアノとの出会いで正面から平和の尊さを考える大きなきっかけになったので、きょうも皆さんが被爆ピアノとの出会いで、改めて考えるきっかけになればいいと思う」

演奏会には大口明光学園の中学生51人が参加。

人への慈しみや愛しい人への思いを持つことが平和への一歩になるとして選曲された「愛の夢第3番」の調べに耳を傾けました。

30日はこのほか、被爆者による講話などもあり、生徒たちは戦争や被爆について学びを深めていました。

大口明光学園・中学3年生
「音色がとてもきれいで本当に被爆したとは思えなかった」
「被爆された方の思いが伝わってきて、改めて考えてみようと思う機会になりました」
「色々な人の思いを背負っていたから音の重みが違う感じがした」

鹿児島テレビ
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