「サイバー攻撃によりシステム障害が発生している」と発表した、ビール大手のアサヒグループホールディングス。
30日午後5時現在も復旧のめどは立っておらず、影響が広がっています。
年間100億リットルを超える酒類やおよび飲料を販売し、売り上げ収益は2.9兆円を超えているアサヒグループホールディングス。
29日にサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生し、この影響で酒類や飲料、食品の国内の受注や出荷が全てストップ。
出荷ができないため、生産が止まってしまいました。
個人情報や企業データなどの外部への流出はないとしていますが、長引けばサプライチェーンには大きな影響が出る可能性があります。
復旧はいつになるのか。
捜査当局には29日昼ごろ、アサヒビール側から「ファイルが暗号化されたランサムウェアの被害にあったようだ」と相談があったといいます。
一般的に“ランサムウェア”とは、感染するとパソコンなどに保存されているデータを暗号化して使用できない状態にし、そのデータを復元するために金銭などの対価を要求する不正プログラムのことです。
捜査関係者によると、今回のアサヒビールの件は、身代金が要求されているかは分かっていません。
アサヒグループホールディングスは30日午後、10月1日に予定されていたビールの発表会の中止を決定しました。
実は、海外でも大手自動車メーカーがサイバー攻撃の被害に遭っていました。
9月2日、イギリスの自動車メーカー、ジャガー・ランドローバーは、サイバー攻撃を受けたと公表。
10月1日まで、車の生産の一時停止を余儀なくされました。
ジャガー・ランドローバーは部品メーカーなどを含めると15万人以上の従業員がいて、現地メディアは、生産停止によって1週間ごとに少なくとも5000万ポンド、約100億円の損失が出ていると報じています。
日本とイギリスで発生した、大手企業を標的にしたサイバー攻撃に、フジテレビ・智田解説副委員長は「個人情報を抜き取るなどのタイプに加えて、最近は金銭目的などで企業活動を妨害し、サプライチェーンなどへのダメージを通じてプレッシャーを与えようとするケースも増えてきた。最新の脅威に対応できるよう、ネットワークセキュリティーのレベルを高めておく対応が常に求められるようになってきた」と指摘します。