高値が続くコメについてです。

農林水産省のまとめによりますと、今月21日までに全国の小売店で販売されたコメ5キロの平均価格は4052円で、2週連続の4000円台となりました。

このうち地域別で最も高かったのは北陸の4436円で、7週連続の4000円台。

政府が目標としてきた3000円台を上回り、高値で推移しています。

農林水産省は新米の出荷が進み高値で取引される中、割安な備蓄米の流通量が減っているのが要因だしていますが、消費者はどのように感じているのでしょうか。

*リポート
「コメ売り場には新米が続々と並んでいます。県産てんたかく5キロで4180円の本体価格コシヒカリは4280円です。やはり4000円を超えています。この店では去年と比べておよそ1.5倍値段が上がっているということです」

新米が並ぶ滑川市の大型商業施設。

この店では去年、てんたかくの新米が5キロ2640円、コシヒカリの新米は5キロ2840円でした。

今年はおよそ1.5倍の値段となっています。

*消費者
「高すぎます」
「やっぱり日本人にはコメが必要だからどんどん高くなっていくと生活が困る」

「新米」ではなく、去年産のコメ、2キロの袋をカゴに入れていたこちらの男性は…

Qサイズを小さめにした理由は?
*消費者
「このあとの様子をコメの値動きを見たいから」

Qとりあえず必要最低限を買う?
「はい」
「しばらくパン生活をしていたけれどやっぱりコメ美味しいから」
「早く(5キロ)3000円台に戻ってほしいな」

*消費者
「安くならないなと思ってやっぱり値段で(選んでいる)新米より安いから」

Q4000円切っている
「200円の差だけど(大きい)」
「そりゃあ新米を食べたいよね」

少しでも出費を抑えようと3000円台の去年産のコメを求める人が多くみられました。

*リポート
「コメ売り場の棚で唯一、在庫がなくなっているのがこちら、アメリカ産のコメです。5キロで2890円の値札がついています」

この店では今年からアメリカ産のコメも扱い、多く売れているといいます。

*リポート
「こちらの女性はブレンド米を手にしています…」

複数の品種や産地、収穫年の異なるコメを混ぜ合わせたブレンド米の価格は2000円台。

この店では去年の同じ時期と比べて9倍売れているといいます。

*消費者
「予算4000円持ってきたんだけどこれ(ブレンド米)だったら良いかなと一回コシヒカリの新米を食べた4000いくらだった今度はちょっと安いので良いかなと思って」

一方、生産者は。

*クボタファーム 山口義治社長
「この春先だけで1000万円以上の肥料・農薬を買っている。毎年その単価などもみているが。やっぱり今年に関しては2~3割くらいは相対的に上がっている」

およそ120ヘクタールの田んぼを管理する高岡市の農業法人。

頭を悩ませているのが、コメをつくるために必要な経費、生産コストの上昇です。

「来年の肥料の予約がJAから(案内が)きているが、4~6%くらい品物によっては上がる、考えてくださいねっていう」
「使わなかったら(コメが)とれないし。じゃあ少し減らそうかとか。なんかうまい方法がないかとか」

猛暑となった今年の夏は、カメムシなどの害虫対策として例年に増して農薬が必要となりました。

さらにこの時期、収穫したコメを乾燥させる作業で施設では大量の灯油を使用するといいます。

*クボタファーム 山口義治社長
「500リットルの(灯油)タンクがふたつ」
「今年は水分の高いコメもあるので灯油が一晩でなくなる」

原材料や燃料費の高騰が続くなか、在庫のデータ管理を徹底するといった工夫で対応しています。

*クボタファーム 山口義治社長
「資材が上がるのは仕方がない」
「無駄なものは買わない。残さない。在庫管理もしっかりやらせてもらっている」

コメの生産コストについて、県などのまとめによりますと、直近5年間では、水道光熱費は30%、燃料費は35%の増加。また、農薬は19%、さらに高温により品質維持も求められることから肥料費は67%も増えています。

県の担当者は、消費者に現状を理解してもらいたいと話します。

*県農林水産企画課 林保則課長
「ある程度価格転嫁が進まないと、「稼げる農業」ということは展開できない」
「一方で、消費者にとってみればコメの店頭価格が高騰しているのは、「ちょっとコメを控えようかな」となってしまう『コメ離れ』は懸念している」

精米5キロ、4000円。

お茶碗一杯に換算すると、50円程度といわれます。

この価格をどう受け止めるか、消費者にとっても悩ましいところです。

*県農林水産企画課 林保則課長
「(お茶碗1杯)50円とか60円を安いととるか、高いと捉えるかはそれぞれ違うと思うが、例えばミネラルウォーターや缶コーヒーに比べると比較的安いのではないかなと」

*クボタファーム 山口義治社長
「私らが一生懸命やっているコメが100円にもならない」
「せっかく食べるならおいしいコメを食べるのはどうでしょうか。これだけやっぱり農家みんな苦労してやっているので」

専門家は、生産コストの上昇だけでなく、コメの「不足感」がさらに値段を上げていると分析しています。

*日本国際学園大学 荒幡克己教授
「集荷合戦が過熱している。今年はしっかりコメが獲れそう。昨年に比べて50万、60万多めに獲れる、間違いなく獲れます。ところが実際には「不足感」といいますか、不足するかどうかよりも感覚的に「不足感」があると、なんとしてもコメを確保しましょうと、集荷合戦が起きている。それがどんどん高値をあおっている状況になっている」

荒幡教授は、年内はコメの高値が続くとみています。

*日本国際学園大学 荒幡克己教授
「しばらく11月末から12月くらいまで高値状況が続くと思う。年明けになると流通業者の方もおそらくコメが十分あると実感できると思う。そこで少し米価は下がってくると思う。余剰感が出てくれば(5キロ)4000円を切る、3900円くらいも可能を見ている」

しばらくは高値が続くと…

私たちに消費者にとっては、少しでも安く…と思いますが、生産コストの上昇分はしっかりと価格転嫁されるべきですよね。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。