2018年に起きた奥田交番襲撃事件で、殺害された警備員の遺族が県警の初動対応の不備を訴えた民事訴訟の判決が言い渡され、富山地方裁判所は原告の請求を棄却しました。
訴えを起こしているのは、7年前の事件で殺害された警備員・中村信一さんの妻です。
事件は2018年6月、富山市の奥田交番に元自衛官の島津慧大被告(28)が押し入り、持っていたナイフで当時警部補だった稲泉健一さん(当時46)を殺害。
その後奪った拳銃で、近くの小学校で警備をしていた中村信一さん(当時68)を射殺したものです。
争点は、交番にいた相談員の最初の通報直後の警察の対応。
中村さんの妻は、「島津被告が拳銃を持って逃走している可能性を県警が認識し、パトカーで警告音を鳴らして巡回などをしていれば、夫の命が奪われることはなかった」と主張。
県警の初動対応に重大な落ち度があったとして、県に損害賠償を求めました。
これに対し県は、通報段階では住民に差し迫った危険があるとは認識できず、警告はできなかったと、請求棄却を求めました。
2021年の提訴から4年が経っての判決言い渡し。
富山地方裁判所の矢口俊哉裁判長は、「交番所長の拳銃が犯人によって奪われたことを認識できるのは警察官が交番に到着した後であり、具体的危険性があるとは認識できない」「警告を発した場合、情報があいまいなため周辺住民がパニックになることや犯人が人質を取って立てこもるなど事態が一層悪化する可能性を考慮する必要があり、警告を発するとの判断が困難でなかったとは認められない」とし、原告の請求を棄却しました。
また、1年前から原告側は事件の重大性を示す通報の音声データを法廷で公開するよう求めていましたが、今月になって裁判所が原告の申し立てを却下しています。
事件から7年。
判決を受け、中村さんの妻は・・・
*中村さんの妻
「今日の判決は本当に残念でならないという一言」
中村さんは今回の判決を受け、控訴する意思を示しました。
*中村さんの妻
「内容があまりにもひどいのでちょっとがっかりしているというところもある。警察の言っていることをそのままなぞったような判決文で、もし今のこのような状態の体制でやっているのだとすれば安心安全は警察に委ねられない」
「今後、高裁の方も先生方の力を借りながら本当にまた戦っていきたい」
2018年の事件発生から3年後に始まった今回の民事訴訟。
改めて、原告と、被告である県、そして裁判所の判決を見ていきます。
争点は通報直後の警察の対応でした。
中村さんの妻は、「被告が拳銃を持って逃走している可能性を県警が認識し、周辺に避難の指示をしていれば夫の命が奪われることはなかった」と県警の初動対応に重大な落ち度があったと主張。
これに対し県は、通報段階では住民に差し迫った危険があるとは認識できず、警告はできなかったと、請求棄却を求めていました。
判決で富山地裁は「具体的な危険性があるとは認識できず、事態が一層悪化する可能性を考慮する必要があり、警告を発するとの判断が困難でなかったとは認められない」とし原告の請求を棄却しました。
判決を受け、中村さんの妻は控訴する意思を示していて、裁判はさらに長期化しそうです。