『カンパネラおじさん』として知られる佐賀のノリ漁師・徳永 義昭(とくなが・よしあき)さん。音楽を志す若者たちの夢を応援したいと全国各地のコンサートで共演しています。『夢支援プロジェクト』と名付けた、その思いに迫ります。

(登場する徳永 義昭さん)
「こんばんは、水前寺 清子です」
(会場が笑いに包まれる)

軽妙なトークで会場を沸かせる徳永 義昭さん、65歳てす。

(会場で鼻をすする音が響く)
「もう泣かれているんですか?私の話に感動された?生の徳永を見て本当に涙が」
来場者「2回目、2回目」
「あっ、2回目ですか。じゃあ涙は枯れとるですね」

(有明海/佐賀市)

徳永さんは、佐賀のノリ漁師です。この道45年以上の大ベテランでノリ漁のシーズンになると、毎朝早くから有明海に向かいます。

【徳永 義昭さん】
「きれいか!有明一番とった!最高級のノリばとった!」

徳永さんがピアノを弾くようになったのは52歳になってからでした。楽譜は読めないといいます。

【徳永 義昭さん】
「テレビでフジコ・ヘミングさんの『ラ・カンパネラ』を聴いて、妻がピアノの先生をしているので、家にピアノがあったので〈ピアノ弾いてみようかな〉と思って、『ラ・カンパネラ』だけを最初から練習しました。ユーチューブの動画を一回一回、止めて鍵盤の位置を確認しながら練習しました」

徳永さんは1日8時間以上の猛練習の末にプロでも難しいとされる『ラ・カンパネラ』が弾けるようになりました。

それ以降、『カンパネラおじさん』として知られるようになり、全国各地で演奏を披露しています。

(映画『ら・かんぱねら』)

そして、徳永さんの挑戦の実話を基にした映画『ら・かんぱねら』も製作され、ことし全国公開されました、

【徳永 義昭さん】
「おいにとっては神様みたいな曲。〈一生懸命練習するといいことがあっぞ〉と(昔の自分に)教えてやりたか」

ピアノを弾くようになって13年。〈奇跡のピアニスト〉と呼ばれ、全国各地で演奏するようになりました。

〈こんな人生が待っているとは思わなかった〉と本人も驚いています。

今回のコンサートには徳永さんの、徳永さんのピアノ仲間である『ピアノデュオ ポムヴェール』も登場。会場と一体となった連弾を披露しました。

全国各地で開くコンサートで徳永さんは最近、ゲストとして若手の演奏家や学生などを招いています。

【徳永 義昭さん】
「本当にフジコさんのおかげだと思っているし、フジコさんに御恩返しをしたいんですけど、去年4月に亡くなられて、もう御恩を返すことができんとですよね。若い次の世代の子どもたちをお呼びして、ゲストとして弾いてもらおうという『夢支援プロジェクト』を立ち上げて、偉そうなこつば言いよるばってん、俺が受けた恩をそういうふうにして返していきたい。そうしたら、フジコさんが喜ばれるんじゃないかと思っているんですよね」

(バイイオリン演奏/小野田 香音さん/高校1年生)

3歳からバイオリンを始め、さまざまなコンサートに出演しています。

【小野田 香音さん】
「音楽は、あまりかっちりとした正解がないから、出口がない戦いみたいなもので、ちょっときついものはありますけど、でも、こうやってコンサートで弾くとそれが呼吸みたいに楽しくて続けています」

【ピアノ演奏/坂本 湊音(みなと)くん

こちらは、坂本 湊音くん、小学2年生です。ピアノを習って4年です。

【坂本 湊音くん】
「出てよかったです。「『ラ・カンパネラ』は好きな曲だから弾いてみたいです」

【徳永 義昭さん】
「俺より上手かけんが、もう呼ばん(笑)」

最後は徳永義昭さんが『ラ・カンパネラ』を演奏しました。


【来場者】
「すごい努力家ですよね。生きざまがすごく励みになります」

【来場者】
「とてもすごかったです。私も音楽を目指して勉強中なので、すごく刺激を受けまして、また、明日から勉強を頑張ろうと思います」

【徳永 義昭さん】
「これからプロになろうとしているとか、趣味でも一生懸命している、そういう子たちを出してあげたいですね。〈何さま〉と思われるかも分からんけど、育っていく手助けをしたいとは思ってます」

それがカンパネラおじさんの恩返しです。

新たに徳永さんのドキュメンタリー映画の製作も進行中で、2026年夏ごろに公開が予定されているそうです。

徳永さんのコンサートは10月9日(木)にも、くまもと森都心プラザで開催されます。ここでも『夢支援プロジェクト』として、子どもたちの演奏が予定されています。

テレビ熊本
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