自民党の総裁選挙が22日告示され、10月4日の投開票に向けて12日間の選挙戦がスタートした。
22日午後1時から党本部で届け出順に行われた候補者所見発表演説の最後に登壇した小泉農水相は、まず「少数与党として厳しい政治環境の中であっても丁寧な国会運営と野党との対話を通じて政治を前に進めてこられた石破総理に心からの敬意を表したい」と現総裁をたたえた。
そして、自民党が「解党的出直し」を余儀なくされている原因として「国民の声を聞く力、国民の思いを感じ取る力が足りなかった」と分析し、「国民に約束したこと、野党と合意したこと、国民が求めていることを、一致団結、着実に実行することが信頼回復の唯一の道だ」と党再生への決意を述べた。
政策については、ガソリン暫定税率の廃止、物価や賃金上昇に合わせて基礎控除等を調整する仕組みの導入などに取り組むと明言し、「デフレ時代の経済運営の常識の壁を打破しインフレ時代の新たな経済運営を構築する」との考えを示した。
さらに、「一部の地域では外国人の不法就労や地域住民との軋轢(あつれき)、治安の悪化などにより地域住民の不安に繋がっている」と指摘し、「外国人問題に関する司令塔機能を強化し総合的な対策を進める」とした。
また、候補者5人の中で唯一、今回の演説で「拉致問題の解決にも全力で取り組む」と明言した。
演説の最後には野党との連携について触れ、「物価高対策や社会保障など野党に幅広く政策協議を呼びかけ合意を模索する」としたうえで、「政策や理念の一致を慎重に見極めながら政権の枠組みのあり方についても議論を深めていく」と述べ、野党との連立協議にも意欲を示した。
44歳という若さや知名度に基づく発信力が次世代リーダー候補として期待を集める一方、党要職を務めていない経験不足や、時に「進次郎構文」と揶揄(やゆ)される真意の若干伝わりにくい発言などが不安視されることもある小泉氏だが、自民党再生・経済・外国人政策・外交安保・野党との連携と今回の総裁選の主要論点を15分で網羅し、政策立案と遂行の総合力を懸命にアピールした。