アメリカの保守系活動家が暗殺された事件に関する発言が不適切だったとして、ABCテレビは17日、深夜のトーク番組の司会者でコメディアンのジミー・キンメル氏を降板させると発表しました。
「ジミー・キンメル・ライブ」は平日(月曜~金曜)深夜放送のトーク番組で、司会者で人気コメディアンのジミー・キンメル氏(57)がオープニングトークで風刺を交えながらその日の時事問題を取り上げます。
9月15日の放送で、キンメル氏は保守系活動家のチャーリー・カーク氏が暗殺された事件に絡み、熱烈なトランプ大統領支持者(MAGA支持者)について触れ、「(MAGA支持者は)カーク氏を殺害した青年が自分たちの仲間では絶対にないと必死に主張し、政治的なポイント稼ぎにあらゆる手を尽くすほど落ちぶれた」と述べました。
その上で、トランプ大統領が事件の2日後に調子を聞かれ、すぐに話題を自身が力を入れるホワイトハウスの宴会場の建設に切り替えたことをジョークにしました。
カーク氏殺害2日後9月12日のやりとり
記者:
友人のチャーリー・カークを亡くされお悔やみ申し上げます。ここ1日半、いかが過されていますか?
トランプ大統領:
大変順調だ、ところであそこのトラックが見えるだろ?ホワイトハウスの新しい宴会場の工事を始めたばかりだ。約150年も実現を目指していたものだ。素晴らしいものになる
キンメル氏は記者団とトランプ大統領のやりとりを紹介した上で、「これは4歳児が金魚の死を悼むのと同じレベルだ」と指摘し、スタジオの笑いを誘いました。
この放送をめぐり、保守系コラムニストのベニー・ジョンソン氏が17日、SNSに「暗殺者があたかもトランプ支持者であり、亡くなったのはカーク氏の自業自得だったかのように語った」と非難し、FCC=連邦通信委員会のブレンダン・カー委員長を自身のネット番組に出演させました。
カー委員長は番組の中で、「放送免許を与えるのはFCCだ」と強調した上で「ことを難しくさせることもできる」と放送免許取り消しをちらつかせ、ABCに対応を求めました。
こうした事態を受け、ABCは17日夜、キンメル氏を降板させ、番組を「無期限で休止させる」と発表。
急きょ17日夜の放送を別の番組に差し替えました。
トランプ大統領はこの決定について、自身のSNSに「アメリカにとって素晴らしいニュースだ。視聴率低迷のジミー・キンメル・ショーは打ち切りだ。ABCがやっと勇気を出してやるべきことを実行した。おめでとう」と投稿し、「キンメルは才能ゼロだ」とこき下ろしました。
トーク番組をめぐっては、同じくコメディアンで、トランプ大統領に批判的なスティーブン・コルベア氏が司会するCBSテレビの「ザ・レイト・ショー」も2026年5月に終了することが決まっています。
トランプ氏はまた、NBCテレビで冠番組を持つコメディアン2人、ジミー・ファーロン氏と、セス・マイヤーズ氏を名指しし、「残るはジミーとセスだ。NBCやれ!」と番組を打ち切るよう圧力をかけていて、言論の自由に対する懸念が高まっています。