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プレスリリース配信元:国立大学法人岡山大学




2025(令和7)年 9月 13日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/


<発表のポイント>
- 約21~24億年前に地球の大気に大量に酸素が出現した「大酸化イベント」の原因として、海水中のニッケルと尿素が重要な役割を果たしていたことを明らかにしました。
- 始生代(約40億~25億年前)の海水を模した環境下で、紫外線による尿素の生成を実験的に確認し、尿素が原始シアノバクテリア2の重要な窒素源となっていたことを示しました。
- 一方で、海水のニッケル濃度が高いとシアノバクテリアの成長が抑制されることも確認し、海水中のニッケルの減少がシアノバクテリアの増殖と酸素濃度の上昇を促したことを示しました。



◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の大学院自然科学研究科のDilan M. Ratnayake大学院生・OU-SPRING生※(研究当時。現在、スリランカ・ペラデニア大学講師)、学術研究院先鋭研究領域(惑星物質研究所)の田中亮吏教授、学術研究院教育研究マネジメント領域の中村栄三教授(特任)の研究グループは、海水中のニッケルと尿素濃度のバランスによって、シアノバクテリアの成長と酸素放出が制御され、大酸化イベント(Great Oxidation Event, GOE)を引き起こしたことを明らかにしました。

 地球史における重大な現象である大酸化イベントが生じた原因については、さまざまなモデルが提案されてきましたが、酸素供給源であったシアノバクテリアが光合成を始めてから大酸化イベントが発生するまでには約10億年の時間差が生じた理由はこれまで分かっていませんでした。

 本研究では、始生代の海洋に紫外線が照射されることにより尿素が生成され、その尿素とニッケル濃度バランスによりシアノバクテリアの増殖が制御された結果、この時間差が生じたことを解明しました。さらに、これらの要素が現代の生命のあり方を規定する上で、大きな役割を果たしたことを示しました。

 この研究成果は2025年8月12日に、Nature Portfolio「Communications Earth and Environment」オンライン版に掲載されました。


※OU-SPRING生
 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「次世代研究者挑戦的研究プログラム」を用いて、大学院の博士後期課程又は博士課程に進学する優秀な人材の確保を図るとともに、岡山大学の「最重点研究分野」の研究を推進する若手研究者の養成、ひいては、我が国の科学技術・イノベーション創出を担う研究者の養成等を目的に運用している制度です。選抜されたOU-SPRING生には、研究奨励費(生活費相当)と研究費を支給し、より研究に専念できる環境を提供しています。
 https://www.ou-spring.orsd.okayama-u.ac.jp/



ニッケル濃度一定下での異なる尿素濃度におけるシアノバクテリアの成長。尿素濃度は左から右へ増加する。



◆Dilan M. Ratnayake大学院生(研究当時)と田中亮吏教授からのひとこと
<Dilan M. Ratnayake大学院生(研究当時)>
 この研究は、まるで巨大なジグゾーパズルを完成させるようなものでした。幸い、ピースはほぼ全てそろっていたので、実験そのものは比較的短期間で終えることができましたが、その後の考察やモデルの構築には多くの時間を要しました。思考に研究費はかかりませんので、それが唯一の救いだったと言えるかもしれません。





<田中亮吏教授>
 当時大学院生だったディランさんとは、実験計画立案からデータの評価、結果の考察に至るまで、毎日のように議論しました。研究は、当初予想していなかった方向にどんどん進み、最後には地球史における重要な発見につながりました。さまざまな自然現象に対する強い興味とチャレンジ精神を持つディランさんの研究者としての今後の活躍が楽しみです。






◆論文情報
 論 文 名:Biogeochemical impact of nickel and urea in the great oxidation event
 掲 載 紙:Communications Earth and Environment
 著  者:Dilan M. Ratnayake, Ryoji Tanaka, and Eizo Nakamura
 D O I:https://doi.org/10.1038/s43247-025-02576-8
 U R L:https://www.nature.com/articles/s43247-025-02576-8


◆研究資金
 本研究は、日本学術振興会科学研究費(20K04108、23K17707、24K00745)、科学技術振興機構次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2126)の支援を受けて実施しました。


◆詳しい研究内容について
 地球大酸化イベントは海洋中のニッケルと尿素が鍵を握っていた
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250820-1.pdf


◆参 考
・岡山大学惑星物質研究所(IPM)
 https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(OU-SPRING)
 https://www.ou-spring.orsd.okayama-u.ac.jp/


◆参考情報
・【岡山大学】初期太陽系における地球型惑星の材料物質の進化を解明:地球質量の半分を占めるケイ素と酸素の同位体組成からの証拠
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000072793.html









岡山大学惑星物質研究所(鳥取県三朝町)



岡山大学惑星物質研究所の位置(googleマップより)



◆本件お問い合わせ先
 岡山大学惑星物質研究所 教授 田中亮吏
 〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827
 TEL:0858-43-3748
 FAX:0858-43-2184
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1424.html

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748
 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/

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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
- 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html





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