廿日市市にある遺跡でおよそ4万2300年前の”石器”が見つかりました。
人類が日本列島にたどり着いたと言われている時期よりも5000年も前のものだということで、今、注目されています。
【野川フィールドキャスター】
「廿日市市吉和です。私が今いるあたりが冠遺跡群という遺跡なんですけれども、こちらで作業が進んでいます。この遺跡が、日本の歴史に一石を投じるかもしれません」
旧石器時代の遺跡で調査を行っているのは、奈良文化財研究所の主任研究員・国武貞克さんです。
国武さんが去年この場所で行った発掘調査で、日本で最古と言われているおよそ3万7000年前の石器よりも5000年も古い石器が、300点以上見つかりました。
見つかった石器は縁がギザギザに加工されていて、石器の先はとがっています。
5万年から4万年前に、中国大陸や朝鮮半島で使われていたものと同じ特徴をしているということです。
【奈良文化財研究所・国武貞克主任研究員】
「日本列島の人類の歴史が5000年さかのぼっていることが、この遺跡で初めて分かったので、しばらく驚きが大きすぎて夜眠れないことが昨年の調査中にありましたね」
【野川フィールドキャスター】
Q:きょうの作業はどういうことをするのか?
【奈良文化財研究所・国武貞克主任研究員】
「ここが4万2300年前の地層で確かであると、『放射線炭素年代測定』という分析で年代を出しているんですが、それ以外の地質学的な化学分析で地層の年代をより確かめていく」
人類が日本列島にたどり着いた時期を知る上で、貴重な手がかりとなる今回の調査。
国武さんは今後も調査を続け、地質学の専門家などとともに検証を重ねていくとしています。
《スタジオ》
研究者もびっくりすることが県内で明らかになりつつあります。
旧石器時代は、前期、中期、後期にわかれていて、日本列島に人類がたどり着いた時期については、これまで「後期旧石器時代」にあたるおよそ3万7000年前ごろだという説が有力でした。
しかし、今回の石器はそれよりも5000年前のものだということで、人類が「中期旧石器時代」にはいたことになります。
新たな発見になりますが、岡野さんいかがですか?
【岡野キャスター】
「大ニュースですよね。歴史が塗り替えられるかもしれない」
そうなんです。その証拠になるものが広島で見つかったということです。
今回見つかった石器は、あす13日から11月末まで廿日市市の「吉和歴史民俗資料館」に展示されるということで、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。