改正道交法で「初の起訴」なぜ裁判に?

「え、自転車でお酒を飲んで裁判に?」
そんな驚きの声が上がっても不思議ではない。宮城県内で初めて、自転車を酒気帯び状態で運転したとして、53歳の男が正式に「起訴」された。

起訴されたのは、宮城県亘理町に住む53歳の男。
起訴状などによると、男は9月1日午前11時過ぎ、亘理町の県道で、酒気を帯びた状態で自転車を運転し、呼気から基準値を超えるアルコールが検出されたという。男は酒気帯び運転の現行犯で逮捕されていた。
警察の調べに対し、男は容疑を認めていたという。

2024年11月に改正された道路交通法では、車と同様に「酒酔い」だけでなく「酒気帯び」での自転車運転も罰則の対象となった。具体的には、呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上のアルコールが検出されると、例え自転車でも処罰されることになる。

今回のケースは、法改正にもとづく「県内初の逮捕」であり、さらに略式手続きではなく、正式な公判請求としての「県内初の起訴」となった。

検察「略式手続き相当と判断せず」

押収された自転車
押収された自転車
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通常、飲酒運転における略式手続きは、罰金刑が相当と見込まれる場合に適用され、被告人がそれに応じることで裁判を経ずに罰金刑が科される。しかし今回の場合、仙台地検は「略式手続き相当とは判断しなかった」と説明している。
つまり、略式で処理されなかった理由については、「量刑が罰金100万円以下と判断される」「本人が略式に同意する」という2点を満たさなかったためだ。

ちなみに以前、仙台市職員が同様に自転車の酒気帯び運転で摘発された際には、罰金10万円の略式命令が出された。

「見せしめ」ではない?法改正後「初」の影響は否定

仙台地検
仙台地検

改正法による初適用というインパクトもあり、「初例だから厳しく対応されたのでは?」という見方もできる。だが、検察はこれを明確に否定。

「今回の起訴はあくまで個別の事案にもとづくもので、初の逮捕だからといった影響は一切ない」としている。

また、被告の起訴内容はあくまで「自転車での酒気帯び運転」のみ。その他の悪質な行為や別件は含まれていない。
検察は「悪質性などについて何かあるかもしれないが、それは公判で明らかになる」と述べており、今後の裁判で新たな情報が出る可能性もある。
なお、初公判の日程は現時点では決まっていない。

「自転車でも飲酒運転」他人事ではない法律改正

自転車による飲酒運転の摘発は今後も増える可能性がある。自動車に比べて「まさか捕まるとは思わなかった」と感じる人も多いかもしれないが、法の適用に車両の種類は関係ない。

「自転車だから大丈夫」と気を抜けば、逮捕・起訴されることがあると、肝に銘じておかなければならない。

仙台放送

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