岡山市中央卸売市場の市場関係者でつくる「岡山県お魚普及協会」の協力で瀬戸内などの新鮮な魚介のおいしい食べ方などを紹介している、OHK岡山放送の情報番組「なんしょん?」のコーナー「瀬戸内旬紀行」<月曜から金曜午後3時50分から岡山・香川エリアで放送中>。
今回は協会理事で原田屋鮮魚店の原田徹美会長に、夏の味覚として関西地方を中心に親しまれている「ハモ」について話を聞いた。

◆別名は“山で獲れる魚” 見た目は細長いが…鋭い歯と強い生命力を持つ
ハモはウナギ目ハモ科に属する海水魚で、細長い体と鋭い歯が特徴。体表は茶褐色でつやがあり、見るからに精悍(せいかん)な印象を与える。この日用意されたのは淡路島で水揚げされた、全長1メートルを超える立派なもの。原田会長によると前夜まで泳いでいたというからまさに新鮮そのものだ。
ハモの最大の特徴は、その「生命力の強さ」。水揚げ後も長時間生き続けることができるため、海から遠い京都などの内陸部でも新鮮な状態で届けられ、「山で獲れる魚」とも呼ばれるほど、古くから重宝されてきた。

◆9月から10月にかけてもおいしく味わえる…
ハモの旬は、6月から8月にかけての夏場が中心だが、9月から10月にかけてもおいしく味わうことができる。特に夏場、暑さで食欲が落ちがちな時期にぴったり。原田会長も「夏バテ防止に最適」と太鼓判を押す。
味の特徴については「あっさりとした中に、ホクホクとした食感が楽しめること。飽きのこない味わいに「夏にもってこい」の食材と表現した。

◆熟練の「骨切り」の技が生む“花咲く”ハモの美しさ
ただし、ハモには皮と身の間に細かくて硬い骨が無数にあるため、「骨切り」という特別な技術が必要。皮一枚を残して、身の中の骨を細かく断ち切るこの作業は、熟練の技が求められる。
調理をする原田会長が行うハモの骨切りの幅はわずか0.5~1ミリ。包丁の音が「サクサク」と響く様子は、まさに職人技だ。

◆梅肉や酢味噌を添えた「湯引き」
骨切りされたハモは、塩ゆでにして氷水で冷やす「湯引き」にするのが定番。熱湯に入れると、切れ目から身が花のように開き、見た目にも美しい一品に仕上がっていく。
これに梅肉や酢味噌を添えていただくと、さっぱりとした酸味がハモの旨味を引き立て、食欲をそそる。

◆新鮮なハモの見分け方は?
市場やスーパーでハモを購入する際は、「目の輝き」と「体表のツヤ」に注目。
新鮮なハモは目が澄んでおり、体に光沢があります。最近では、骨切り済みの加工品や、湯引きされた状態で販売されているものも多く、家庭でも手軽に楽しめるようになっている。

◆関西地方で親しまれる「ハモ」実は…瀬戸内の恵み
ハモは、京都や大阪など関西地方で特に親しまれている魚だが、その供給源の多くは瀬戸内海。淡路島や香川などから、活きたまま運ばれるハモは、まさに瀬戸内の恵みの象徴である。
生命力にあふれ、見た目にも美しく、味わいも上品なハモ。夏の暑さを乗り切るためのスタミナ食として、また季節を感じる一品として、ぜひ食卓に取り入れてみては。
(岡山放送)
