島根県西部で受け継がれてきた石見神楽。
大阪・関西万博のステージでも披露されました。
島根を代表する伝統芸能として地域に根付くこの神楽が、高校生の部活動を通じて次の世代へバトンが託されようとしています。
浜田市の浜田商業高校。
放課後の校舎内から聞こえてきたのは、石見神楽の「お囃子(はやし)」です。
島根県内でも数少ない部活動、郷土芸能部の生徒たちがけいこに励んでいました。
郷土芸能部は2005年に創設され、地域の伝統芸能を学び継承することを目的に活動していますが、その中心は「石見神楽」。
ほぼ毎日けいこを重ね、今では県内のイベントステージなどで年20回ほど舞を披露するほか、高校生の文化系部活動の全国大会『高文祭』に参加、これまでにも準優勝にあたる優秀賞を受賞するなど、その活動は全国でも認められています。
2025年は、開催中の大阪・関西万博のステージにも上がりました。
夏休みが終わって3年生が引退、1年生と2年生合わせて9人の部員が9月15日に松江市で開かれる『高校生神楽フェスティバル』に向け練習を重ねています。
石見地方では幼いころから神楽に親しみ、大人に混じって神楽の団体「社中」に加わる人も少なくありませんが、郷土芸能部では、入学前に神楽を経験したのは3人だけ。
残る6人は高校入学後、この部活動が、神楽との本格的な出合いでした。
1年生・大辻煌輔さん:
もう入るまでは特に興味はなくて、やってみたら案外いいんじゃない?って。
1年生・青木美優さん:
兄が社中に入っていて、小さいころから神楽を見る機会が多くて興味持って始めました。
部活動の目標は「見てくれる人が楽しんでくれる石見神楽」。
経験者も初心者も基本の動きから細かい所作まで身に着けられるよう、部員同士が互いにアドバイスしあいます。
教えて、教えられ、部活動の場で伝統文化が受け継がれています。
9月5日、けいこに励んでいたのは2年生の佐々木惇翔さん。
神楽未経験で入部した部員のひとりです。
10日後に迫った『高校生神楽フェスティバル』で上演する演目「八幡」で主役のひとり、「悪魔王」を演じます。
2年生・佐々木惇翔さん:
最初は小さいころ、僕の親が社中に入っていたので、それで自分も神楽したいなと思ってて。
幼いころ、神楽に熱中する父の姿を見てあこがれたものの、自宅と練習場所が離れていたことから社中に参加するのをあきらめていましたが、入学後、まっさきに伝統芸能部に加わりました。
神楽を始めて約一年半。
太鼓や音響といった裏方も経験、ほかの部員に支えられながら学んできました。
2年生・佐々木惇翔さん:
自分がやりたいこと…太鼓だったり、舞いだったりをできた時が一番嬉しかったり楽しかった。
3年生が引退し、次の上演で、佐々木さんは花形の「舞」を担当することに。
否が応でも気合が入ります。
2年生・佐々木惇翔さん:
緊張するとは思いますけど、みんなで頑張った成果を出し切れるように舞っていきたいと思います。
地元の伝統芸能を部活動でも…。
部員たちは伝統を受け継ぎながら、自分たちの神楽を作り上げていきます。
浜田商業高校郷土芸能部も出演する『高校生神楽フェスティバル』は9月15日、松江市の島根県民会館で開かれます。