
秋山シーズンを迎えた立山・室堂周辺で、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。環境省によると、9日は午前8時から午後3時の間に合わせて3件の目撃報告があったという。登山客の安全確保のため、関係機関が注意を呼びかけている。
昼頃にも成獣とみられるクマを確認

9日昼頃、室堂ターミナルから一の越山荘へ向かう登山道を15分ほど歩いた場所で、BBTのカメラがクマの姿をとらえた。映像には、クマが山の斜面をゆっくりと移動する様子が写っている。エサを探しているのか、岩をよじ登りながらのんびりと移動する姿が確認された。大きさから成獣のツキノワグマとみられる。

現場に居合わせた登山客からは「クマがいた」「普通にのっそりと歩いていた」「様子はおとなしい」などの声が聞かれた。クマとの距離について質問されると「そんな近くない。恐怖感もなにもない。クマの生息地にお邪魔しているから」と冷静に答える登山客もいた。
先月から室堂周辺での目撃が続く
室堂周辺では、多くの登山客が訪れる室堂ターミナルから1時間ほど歩いた場所にある室堂山展望台周辺でも先月クマが確認されている。9日に目撃されたクマと同じ個体である可能性もあるとされている。
立山町によると、これまで人身被害などは報告されていないものの、室堂周辺でツキノワグマの目撃が相次いでいることを受けて対策を講じている。具体的には、今月12日まで、町の職員と猟友会員を毎日交代で1人ずつ室堂平に派遣し、クマが出没した際の動静確認や登山者の安全確保に努めているという。
登山客への注意喚起を継続

この日も秋の登山シーズンとあって、室堂周辺には多くの登山客が訪れていた。県警山岳警備隊などは、クマに近づいて刺激することや、残飯やゴミを放置しないよう登山客に引き続き注意を呼びかけている。
クマは通常、人を恐れて避ける性質があるが、食べ物を求めて人の近くに現れることもある。特に秋は冬眠に備えて活発に行動する時期であるため、登山の際は鈴などの音の出るものを携帯し、単独行動を避けるなどの対策が重要となる。
室堂周辺は立山黒部アルペンルートの一部で、標高約2,450メートルに位置する高山帯。秋の紅葉シーズンを迎え、今後も多くの観光客や登山客が訪れることが予想される。関係機関では引き続き警戒を続けながら、登山客の安全確保に努めていく方針だ。
(富山テレビ放送)