富山県高岡市の出町譲市長が公用車リース契約の途中解約を表明したことに対し、市議会で異論が出ている。「税金の使い方をチェンジする」という市長の政治信条と、違約金支出を「無駄」とみる市議会の考え方の違いが浮き彫りとなった。

市長専用車のリース解約を巡る議論

高岡市は市長専用の公用車を5年間のリース契約で使用しているが、出町市長はこれを「不要」と判断。今月末でリース契約を途中解除する方針を示し、約46万円の違約金を盛り込んだ補正予算案を今議会に提案している。
この判断に対し、市議会最大会派「同志会」の酒井善広議員が9日の本会議で異を唱えた。

「リース契約途中解除の違約金を補正予算で補填することは、違約金という無駄な税金支出を発生することになると考えるが見解を伺う」
酒井議員は違約金の支出そのものを「無駄」と指摘し、市長の見解を質した。
コスト削減効果と市長の回答
これに対し出町市長は、長期的な視点からのコスト削減効果を主張した。

「リース契約解除の検討過程において、中途解約に伴い発生する損害金よりも、リース料の減額によるコスト削減効果の方が大きい」
市が示した数字によると、補正予算案に計上された違約金は46万1000円。一方、契約解除によって今後支出しなくなる費用は、今年度分のリース料51万5000円(来月から年度末までの半年分)と来年度分103万円を合わせた計154万5000円となる。
差し引きすると、約108万円のコスト削減効果が見込まれることになる。

「無駄」の解釈をめぐる対立
この議論の背景には、「無駄な支出」に対する解釈の違いがある。出町市長は市長専用の公用車そのものが不要と考え、たとえ一時的に違約金が発生しても長期的にはコスト削減になると判断。一方、酒井議員は契約途中解除に伴う違約金の発生そのものを「無駄な税金支出」と捉えている。
この対立は、出町市長が掲げる「税金の使い方をチェンジする」という政治信条を巡る考え方の違いを示している。市長は公用車という特権的な象徴を手放すことで、行政改革への姿勢を示したとも言えるが、その手法については議会から異論が出ている形だ。

今後の展開
今回の公用車リース解約問題は、単なるコスト計算の問題ではなく、行政運営における優先順位や税金の使い方に関する価値観の違いを反映している。今後の議会審議を通じて、高岡市における「効率的な行政運営」のあり方が改めて問われることになりそうだ。