岡山・香川の頑張っているアマチュアアスリートを応援する「キラキラアスリート」。今回紹介するのは、岡山県和気町の上原安史選手(57)です。
岡山市南区の岡山市総合文化体育館で5月25日に行われた「岡山県障害者スポーツ大会輝いてキラリンピック」のボッチャ競技。午前の部で行われたプールCで、上原選手は亀井真紀選手(岡山市中区)との試合を接戦で制し、見事1位となりました。
ジャックボールという白いボール1個を目標に、自分の持ち球を選手それぞれが選んだ方法で投げ、最終的に相手より1個でも多く近づけることができるかを競う「ボッチャ」。左手の甲を振り上げるスタイルで青いボールを投げる上原さんと、「ランプ」と呼ばれる勾配具を使い、ランプオペレーター(アシスタント)に指示をし、投球準備がされた状態で自身で赤いボールを突き転がす亀井選手との試合は、上原選手2点リードで迎えた第2エンド、どちらに勝利が転がるのか目が離せない展開になります。試合の模様は動画でご覧ください。
表彰式終了後に、上原選手に大会の感想やボッチャ競技への思いなどを聞きました。(撮影と聞き手:OHK岡山放送 西村和子)
Q:試合では亀井選手との一騎打ちに。最後はポイントで逃げ切った
(上原安史選手)
「(リードが)2点あるので。1点はいいと思っていたら…」
Q:最後、赤(上原選手)と青のボールのどちらが近いのを確認した結果、2対1で勝利。今の気持ちは
「緊張したけど、頑張りました(笑)」
Q:ジャックボール(先攻の選手がゲームの最初に投じるボール)への、第1球の寄せ方が、非常に素晴らしいと思いながら見ていたが、何か特別な練習はしているのか
「練習となるとどうか。試合では1回ミスショットをした。あとは全部OKだった」
Q:亀井選手はハンディがありながらも、正確なショットを打っていた。一度、逆転された場面があったかと思うが、ボールの並びを見て、限られた時間の中でどこにどう投げようみたいなことを思ったか?
「2点あったので。もう1点は(取られても)いいと思って投げ。そうしたらミスをした(笑)」
Q:やっぱりメンタルのスポーツと言われているだけあって・・・最後まであきらめないっていうか、何がやっぱり起こるかわかりません
「そうですね」
Q:奥が深いと思って始めたボッチャ。どんなところが面白いか
「一球で変わるんよ」
Q:2024年は全国大会に出場し2勝を挙げた。勝つという経験も、ボッチャをやって楽しいというところにつながっているか?
「うん、そう」
Q:今後の意気込み、抱負などは
「昼休みには「(作業処)しあわせの家」のみんなが来る(その中でボッチャを楽しんでいる)。それで、いいな、いいなと。「しあわせの家」の人は、みんなで頑張っている」
上原さんは週に5日、赤磐市の就労継続支援B型事業所「作業処しあわせの家」に通っていて、普段は動力のミシンを使った縫製作業に取り組んでいます。天候が良い日は昼休みに仲間とボッチャを楽しんでいるそうです。その事業所の職員である宮田さんに「ボッチャ、やってみよう」と誘われて競技を始めたところ、ボールの投げ方も多様で、たった1球で試合の行方が変わってしまうボッチャの奥深さにひかれたといいます。
上原さんは香川県の高校時代、甲子園を目指していたというスポーツマン。2024年には佐賀県で開催された全国障害者スポーツ大会に宇野豪太選手(倉敷市)とともに岡山県代表で出場し、岩手県と三重県とのリーグ戦で見事1位に輝きました。
競技を初めてまだ5年という上原さんですが、今大会ではジャックボールへの球を寄せる技術のほか、亀井選手との駆け引きに見ごたえがあり、試合に勝つための冷静な状況判断や、相手への敬意を払う場面が印象的でした。
ボッチャの“奥深さ”をプレーで伝えることのできる上原選手、これからの活躍に期待です。