秋田県由利本荘市で建設が進む鳥海ダムは、子吉川流域の洪水被害を減らすことや発電などを目的とするものです。ダムの工事を通じて建設業の魅力を広く知ってもらおうと体験型の施設が新たに設けられました。

斜面を爆薬で崩す発破が繰り返されているのは、由利本荘市鳥海町の子吉川上流にある鳥海ダムの建設現場です。発破を何千回と繰り返しダムを形づくります。2024年8月に本格的な工事が始まった鳥海ダムの建設現場が3日、報道機関に公開されました。

鳥海ダムの総事業費は1990億円。完成すれば子吉川下流の洪水被害を軽減できるほか、水道用水の供給や発電などさまざまな役割を担います。

竹島知郁アナウンサー:
「ダムの底から80メートルほどの高さの地点です。現場では斜面を砕きながら、砂利を運ぶ道路を作る作業が行われています。この中でダムがどのように造られるかといいますと、ピンク色の看板、あちらがダム軸と言いまして、堤体ができる中心の部分になります。AR・拡張現実で見るとこうなります」

ダムは高さ81メートル、長さ約380メートル。最大で約4680万立方メートル、25メートルプールに例えると約18万7000個分の水がためられます。現場ではダムの仕組みに理解を深められるほか、新しい取り組みも始まっています。

竹島知郁アナウンサー:
「タイヤが私の身長よりもはるかに高い2メートルあるダンプ。このダンプはダムの建設現場で主力となるダンプで、一度に55トンも土砂を運ぶことができます。しかし上を見てみますと美少女のイラスト。これ『痛車』ですか?」

大量の土砂を運ぶダム工事に欠かせない「超大型」のダンプ。鳥海ダムではこのダンプが最も多いときで約50台稼働します。ダンプをよく見ると、由利本荘市公認のキャラクター「ゆりほん娘」がプリントされています。

鳥海ダムJV工事事務所・岩川真一さん:
「われわれ建設業の固いイメージをぜひ払拭したいなと思い、皆さんに親しまれるキャラクターとして『ゆりほん娘』を使おうというのが始まり」

2025年6月から公開されている展望所は入場無料で、ゆりほん娘と一緒にクイズに挑戦しながらダムについて学べる体験型施設が設置されています。訪れた人に楽しみながらダムをより身近に感じてもらうのが狙いです。

鳥海ダムJV工事事務所・岩川真一さん:
「ダム工事はどうしても環境破壊のイメージがつくが、そうではなく、できるだけ木を切らず、できるだけ自然の地形を生かしてダムを造っているということを理解してもらえるとうれしい」

鳥海ダムの完成予定は2032年度で、2025年3月末までの工事の進捗(しんちょく)率は30.1%です。建設を担う共同事業体は今後、現場の見学会などを開くことにしています。

秋田テレビ
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