防災週間ということで、4日は「フェーズフリー」についてお伝えします。

家庭での災害用の備えについて、SNSでは「備蓄すればするほど収納場所が圧迫される」「価格高騰の中で防災グッズまで手が回らない」などの投稿が見られました。

そんな中、注目されているのが「フェーズフリー」です。
日常時も非常時もというこのフェーズフリーの市場は、お店に並ぶ商品だけでも300億円以上、今後、500億円規模といわれています。

その「フェーズフリー」とは一体何なのか、4日はフェーズフリー協会代表理事の佐藤唯行さんとともに詳しくお伝えします。

遠藤玲子キャスター:
佐藤さん、フェーズフリーとは一体どういったものなんでしょうか?

フェーズフリー協会代表理事・佐藤唯行さん:
「フェーズ」って「局面」ですよね「期間」とか。フェーズがフリーになっている。フェーズって何かというと、この場合は「日常時」というフェーズと「非常時」というフェーズがフリーになって、両方で役に立つというのが「フェーズフリー」なんです。もう少し詳しく言うと、普段、私たちの暮らしを豊かにしている、便利だとか、楽しいだとか、うれしくしている、お得にしているものが、もしもの時の私たちの生活や命を守れるようにデザインされているもの、それがフェーズフリーなんです。

フェーズフリー商品を見ていきたいと思います。

まず水害に関するフェーズフリー商品。

「加圧ボールペン」は、専用インクを圧縮空気で押し出すことで、重力に頼る一般的なボールペンでは難しい、上向きに書くことができるということで、ぬれた紙、氷点下でも使うことができるそうです。

「はっ水バッグ」は、水も油もはじくため汚れにくいということで、災害時、水を運べたりするということです。

実は2026年度からの5年間に取り組む防災・減災対策をまとめた国土強靭化実施中期計画でも、このフェーズフリー対策を積極的に導入しようと、国を挙げてやっていこうという流れができているんです。

フェーズフリーのボールペンを遠藤キャスターが実際に使用してみると、水の中でも文字を書くことができました。

青井実キャスター:
これはどういう時に役立ちますか?

フェーズフリー協会代表理事・佐藤唯行さん:
まさに今日、報道されていますけれども、大雨が降って、その中で皆さんいろんな情報を書き留めたり伝えたりしなきゃいけないですよね。その時にびしょびしょにぬれますよね、その中でも書いていけるというものになりますね。

続いて紹介するフェーズフリーのグッズは、見た目は革靴ですが、裏を見るとクッション性が高くなっていて、防水性・グリップ性能が高く“走れる革靴”ともいわれているアシックスの「ランウォーク」。

フェーズフリー協会代表理事・佐藤唯行さん:
非常時、東日本大震災の時を思い出してみてください。大量に帰宅困難な人が生まれました。その時に公共交通機関が止まってしまって家に帰るのに普通の足が痛くなってしまうような革靴だと家まで帰れますか?そうやって歩きやすくて疲れにくい靴を履いていると、そういう時でも帰宅困難という問題が解決できるということになりますね。

青井実キャスター:
いろんなメーカーから出されているので皆さん、試してみてもいいのかなと思います。

続いて紹介するのは、アートのカバーがついたアイロン台「アートロン」。

フェーズフリー協会代表理事・佐藤唯行さん:
アイロン台って普段、置き場所に困りませんか?なので、これをアートにして壁にかけてしまって、壁が置き場所になってしまうという。そこから取り出して使うという便利な品なんですけど、実はこれ、裏を見てみると、アイロンの形を作るのに樹脂で形を作っているんですが中空、中が空いているんです。これによって浮力が生まれるため、水害が発生した時にこれでビート版のように浮くことができる。壁にかかっているものをすっと取って、それで逃げることができると。

SPキャスター・柳澤秀夫氏:
これ(アートロン)は、何か落ちてきた時に頭を守るためにも使えるんですね。

ぜひ「フェーズフリー」というものを覚えておいていただきたいと思います。