「松山に戻って」天才俳句少女、夢の俳句甲子園で準優勝の輝き
「将来の夢は俳句甲子園に出ることです」
3年前の小学6年生の頃にそう語っていた”天才俳句少女”が、言葉通り夢を実現させた。
京都府の洛南高校1年生、阿見果凛さんの物語である。

歓喜の輪の中にチーム唯一の女子生徒がいた
決勝リーグにコマを進めた俳句甲子園常連の京都府・洛南高校。
歓喜の輪の中にチーム唯一の女子生徒がいた。
阿見さん:
「久しぶりで、夏の愛媛ってこんな感じだったなって思い出して、感動というかジーンと来ています」

「天才俳句少女」として密着
阿見さん:
「どこで何をしていても、俳句は続けていきたいなと思っています。将来の夢は俳句甲子園に出ることです。選手として俳句甲子園をやっている松山に、戻ってくるっていうのが夢です」
今から3年前、テレビ愛媛が小学6年の時に、「天才俳句少女」として密着していた阿見果凛さん。

高校1年生になった今年選手として出場
阿見さん:
「これ全部椿なんかなぁ」
お母さん:
「そうだね、山茶花と椿かな」
大阪から松山に転校してきた小学2年の時に俳句に出会った阿見さん。取材当時、母・幸恵さんと会話をしながら歩き、見たもの、感じたものを言葉にして俳句を作っていた。
『湯の町の 風さらさらと 冬椿』
阿見さんは小学生で数多くのコンテストに入賞し、才能を発揮。その後、中学から県外へ引っ越し、高校1年になった今年、言葉通り「松山に戻って」俳句甲子園出場の夢を叶えた。

より思い入れの深い場所に
夢の「俳句甲子園」。
阿見さんのいる洛南高校は予選を全勝で勝ち進み、2日目の決勝リーグに進出した。
決勝リーグは埼玉県の星野高校との対戦。
洛南高校:
『風走る 浜辺に蔦の まばらなり』
星野高校:
「風走るっていうのが、どのように効いているのか教えてください」
阿見さん:
「例えば浜辺の砂を吹き上げる感じとか、あとその浜辺に這っているまばらな蔦、そんな秋っぽいそういう景を想像してほしい」
堂々と壇上で思いの丈を話す姿。仲間が討論する際はしっかりと耳を傾け、相槌でエールを送りる。
アナウンス:
「判定!洛南高校ここで勝負を決めました」
予選の勢いそのままに決勝リーグも連勝し、初出場にしてなんと見事決勝戦に勝ち進んだ。

自信をのぞかせる横浜翠嵐
決勝の相手は互いに初優勝を争う神奈川県の横浜翠嵐高校。
兼題は「百」。3本先取で優勝が決まる。
横浜翠嵐・対戦前の挨拶:
「まず言っちゃうんですけど、私はこの百の句が今年の翠嵐で最強打線だと思っています」
自信をのぞかせる横浜翠嵐。
横浜翠嵐:
『水打つて 昭和百年 目を生きる』
横浜翠嵐:
「やっぱこの昭和100年目の大きさが、すごい水打ってとも響いてくると思うんですね」

負けじと熱弁をふるう
対する阿見さんら洛南メンバーの一句。
洛南:
『漫画読む 腕の痺れて 百日紅』
横浜翠嵐:
「この句において、百日紅がどういう効果を発揮するのか、その点について教えてください」
阿見さん:
「百日紅ですよね。リビングとか窓がある、そういうことろで漫画を読んでいて、窓の外に百日紅が見える、そういう景だと思います。漫画を読む時って、腕を上に上げますよね。そうすると「あっしびれた!」みたいな、ずっと同じ体勢で読んでいるとしびれるような感じ」
阿見さんも負けじと熱弁をふるう。
アナウンス:
「判定!白11本、赤2本。1本目横浜翠嵐高校が取ってきました」

満点の作品点に…
満点の作品点10が付き、どよめく会場。
審査員長・高野ムツオ先生:
「昭和100年目を生きるという、今現在を生きているという姿を重ね合わせることによって、素晴らしい俳句だと思って、100点をつけました」
昭和100年の節目と、古くから続く人間の営みを合わせた横浜翠嵐の句は、洛南高校を圧倒。すぐさま洛南も1本を取り返すが…
アナウンス:
「判定白!横浜翠嵐高等学校優勝!」
続けて2本を取った横浜翠嵐が初優勝を飾った。

“天才俳句少女”が見事に叶えた夢の大舞台
悔しさもにじませた阿見さんだが、終始、笑顔を絶やさず胸に準優勝のメダルが輝いた。
阿見さん:
「ディベートをする度に成長してたって、審査員の人にも言っていただけた通り、本当に自分の仲間、心強いみたいな、すごいありがたいです。自分もちょっとそれにつられて、対戦相手の人たちにもちょっと影響を受けて、ちょっと成長できたかなと思います。来年こそはもっと良い結果を生み出せるように、もう早くもうちょっとグレードアップできるように頑張ります」
“天才俳句少女”が見事に叶えた夢の大舞台。
松山から歩み始めた阿見さんの俳句人生は、これからも輝き続ける。
